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走ってきたハレルヤを足で引っかけて、ティエリアは食堂の中に入った。
まったくもって、朝から騒々しい。少しくらいは静かに出来ないのだろうか。
中を見れば、いつの間にか一人メンバーが増えていたが、気にしないことにした。よくある話だ。彼女の能力を考えれば、毎日来られてもおかしくはないと思っているから、なおさら受け入れやすかった。
「え、ちょっ……ティエリア!?」
「おいおいおいおい、あれってアリかよ…」
「いつものことだろう、アレルヤ。驚く必要はない」
「ですね。相手もハレルヤですし、問題はないと思います」
…以上四つが、彼らの自分の行動に対する反応だ。
前半二つがおそらく普通の反応なのだろうが、生憎、ティエリアは後半二つに賛同していた。確かに毎日のことだし、ハレルヤが犠牲になっているだけだから何も妙なところは無いはずだ。これがアレルヤ相手だったら、有り得ないと言っておくが。
それよりも、今は大切なことが一つ。これだけは言わなければ。
刹那とロックオンを見据え、一言。
「アレルヤに血を与えるのは俺の役目だ。貴方たちの出る幕はない」
「……独占欲丸出しかよ…」
足下から何か声がしたので、黙って頭を踏みつけておいた。
ぐえ、とかいう音がした気がしたが放っておく。
だって、いつものことだし。
「もしかして、聞いてたのか?」
「盗聴とは趣味が悪いな、ティエリア・アーデ」
驚いている『狩人』と、不機嫌丸出しの隣人をちらりと一瞥し、呆れの表情を浮かべている魔族の少女の隣の、どうしようかとオロオロとしている吸血鬼の所へ行く。もちろん、床に伸びている彼の片割れは放置だ。回復したら勝手に起きるだろう。
「血の話は後だ。それより早く朝食を準備しろ。まだ途中だろう」
「あ、そういえば…」
予測通りの反応に、ため息を吐く。
いつものように三人だけならいいのだが、今は客が四人もいるのだからもう少ししっかりとするべきだと思う。刹那はたんなる隣人で客ではなく、ソーマは双子の友達ということで、客の頭数からは除外。
大方、話のほうに意識が行ってしまったのだろう。
それで、今のこの状況という……分かりやすい。ちなみに、褒めているのではない。
慌てて走っていくアレルヤと、その後ろをゆっくりと歩いていくソーマを見送てちると、ふいにロックオンがポン、と肩を叩いてきた。
どうやら、話があるようだ。
「何だ?」
「いや、ちょっと頼みがあってな」
少し、ため息を吐きたくなった。同じパターンで同じ顔だったから。
そう……刹那が、ここに止まりたいと話したときと。