忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

39


39


「……刹那君、だったか?ここら辺に眼科は?」
「残念ながら無い。というか、この町には医者はいない」
「そうか……この医者には町がいないのか……」
「兄貴……気持ちは分かるけど、動揺しすぎだろ…」

 ……確かに、ミハエルの言うとおりだ。気持ちを静めて、冷静に。いつものように戻らなければ。これではキャラ崩れが起こる。というか、すでに起こっているような気がしなくも無い。

 とりあえず目を覚ますために、外から刺激を得ることにする。これが一番手っ取り早く、確実な方法だろう。

「ネーナ、私を燃やしてくれないか?」
「ダメだよヨハン兄っ!それ、目が覚める前にまた眠っちゃうからっ!」
「では、ミハエル……」
「ナイフもダメだぜ、兄貴……ってか、本当、本当に死んじまうって!」
「そうか……?………そうだな…」

 ようやく落ち着いてきて、混乱の原因を見る。
 そう……自分を殺しに来たのではなく、呼びに来たという『狩人』の姿を。

 ハッキリ言うと、この現象は有り得ない。百点満点のテストで二百点をとるくらい有り得ない。昼間に月が昇って夜中に太陽が現れるくらい有り得ない。あとそれから、ミハエルがネーナを嫌いになるくらい有り得ない。

 彼は家族が『異端』の手にかかってしまった復讐者であり、決してそんな……呼びに来る、という普通なことで『異端』と関わろうとする人間ではない。ここで銃を構えてくれた方が、まだ気が楽というか……。

 だが、まぁ、呼びに来てくれたのは事実なので、食堂には行った方がいいのだろう。どれだけ混乱していても。

「朝食……だったな。すぐ行こう」
「そうしてくれ。ティエリア・アーデは我慢強い方ではない」

 刹那はそう言って、クルリと踵を返した。用件は済んだと言うことだろう。
 彼の後ろを点いていく弟妹たちを追おうとして、扉の所にロックオンが立っていることに気づく。
 思わず立ち止まり、彼の方を見ると、ロックオンは口を開いた。

「ヨハン・トリニティ」
「……何ですか?」
「いつか、決着はつけるからな」

 その言葉に、薄く笑う。
 あのロックオンが『今』ではなく『いつか』と言った。それはつまり、復讐しか考えていなかった彼の心に、幾ばくかの余裕が出来たということ。

 理由は分からないが、どうやら彼は良い方に変わったらしい。

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]