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トレミのクルーの中だったら、やっぱりお母さんはスメラギさんですよね。
チビスターズ第二話 ④
「中はどうだ?」
「操縦、できないほどではないです。難しくはあるけど、僕らは訓練をしてましたから」
ヒョコリ、とコクピットから顔を出してアレルヤが言う。
今は幼いその顔に浮かんでいたのは、苦笑だった。
「経験って本当に、どこで役に立つか分かりませんね」
「だろうな。だからこそいろいろと挑戦するわけだが」
「ですね」
手を差し出すと、彼は素直にその手を取った。そのまま引っ張り上げると「ありがとうございます」という言葉。微笑みつきで。
どこからどう見ても、見た目年齢相応の行動だ。しかも、かなり礼儀正しくて大人しい、大人受けの良い部類に入る。
おそらく、今の彼を見せて「実は彼は二十歳です」と言っても、誰も信じないだろう。刹那の方だったら……信じる人はでてくるかもしれない。
なんだかなぁ、と思う。性格の問題もあるだろうが、元十六歳の方が小さくなってほんのちょっと違和感があって、元二十歳の方は小さくなってもまったく違和感がない。これは、普通は逆なのではないだろうか。
「イアンさん、どうかしましたか?」
「いや、ちょっと考え事をな」
「そうなんですか?」
急に黙ったのを不安に思ったのだろうか。心配そうにこちらを見ていたアレルヤに、何でもないと笑いかける。実際、何でもなかったし。なにより、こういうのは本人に聞かすような話ではないだろうし。
「にしても、見事に女の子だな」
「ちょっ……イアンさん、それには触れないでくださいっ!」
冗談交じりに言うと、アレルヤは必要以上に慌てる。
……以前、ティエリアが「アレルヤ・ハプティズムは、からかいがいがあります」と言っていたのを思い出した。これはイアンが聞いたのではなく、スメラギと彼が話しているのを偶然、聞いてしまったものだけれど。
なるほど、たしかにこれは。小さなことでも自分の行動に、一つ一つ反応が返ってくる。からかうのはさぞ、楽しいだろう。
それにしても、冗談抜きで今のアレルヤは「少女」で通る。スカートだとか頭についている物だとか、そういう衣服の問題は置いておいても。この年代の子供は体もできていないし、顔立ちも中性的なのが多いとは思うが、しかしあまりにも。
「アレルヤ、昔は色々と苦労でもあったんじゃないか?」
「えと、そんなことは無かったですけど……あ、でも」
「ん?」
「ハレルヤが出てくる回数が、ちょっと多かったですね」
それはつまり、苦労ごとがあったということではないのか。
それらをハレルヤが全て片付けてしまったのか、それとも苦労ごとをそれだと思っていなかったのか。どちらにしろ、無かったというのはあり得ないだろう。
……まぁ、本人が無いと言っているのだし、この話題は止めとこうか。
などと思っていると、こちらを見上げているアレルヤが、クスリと笑った。
「イアンさんって、お父さんみたいな感じです」
「どうしてだ?」
「雰囲気が。僕の印象ですけれど」
「アレルヤみたいな子供がいたら、幸せだろうが……」
しゃがんで視線を合わせ、ニッと笑いかける。
「あいにく、ワシから見たらアレルヤは孫だ」
「孫って……イアンさん、そんなに長生きなんですか?」
「もう、五十はすぎてるからな」
「じゃあ、イアンおじいちゃん……ですか?」
アレルヤがそう、真面目に言ってくるものだから、ついついイアンは笑ってしまった。
「笑わないでくださいっ!」
ムキになる彼に、また笑みがこぼれた。
「……お父さんは、ラッセさんでしょうか。年齢的に」
「母親は?」
「そこはスメラギさんですよね」
「祖母役がいないのが悲しいな」
「あ、ですよね。えっと……じゃ、ハロっていうのはどうでしょう!?」
「アレルヤ、ロックオンから相棒を奪う気か?」
ほのぼのな感じです。