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「はい、これお土産」
「ありがとう…でも、わざわざ」
「気持ちだからね。突然押しかけたんだし」
クスリと笑うアレルヤから紙袋を受け取り、彼と、見たことがないもう一人のひとを奥の方へ案内する。ここは玄関だし、もっとちゃんと話をするならば、奥に入った方がやりやすいというものだ。
それにしても……彼は誰だろう?
茶髪に白い肌の、アレルヤの連れの人。自分はずっと町にいるけれど、見ない顔。
……ということは、旅人だろうか?
首をかしげながらも、しかしフェルトは問うことはしない。必要ならそのうち、吸血鬼の彼が教えてくれるだろう。そこらへんはしっかりとしているから。
などと思っていると、タイミング良くアレルヤが口を開いた。
「あ、そうだ。彼のこと、紹介しとかないと」
「おま……遅くないか、それ」
「そうですか?」
言い出した彼はキョトンとしているが、間違いなく茶髪の彼の言うとおりだ。そういうのは、出会ったらすぐに言うものだろう。
まぁ、アレルヤのペースには慣れているし、それほど疑問も何も覚えないけども。
「ロックオン、彼女はフェルトです。座敷童の『異端』の。それからフェルト、彼はロックオンで、職業は『狩人』だよ」
その言葉に、思わず足をピタリと止める。
ゆっくりと振り返り、フェルトは口を開いた。
「えっと……それは、本当?」
「うん、そうらしいけど。あ、でもいい人だよ?」
多分、その通りなのだとは思う。
思うけれど。
……そう言う問題じゃない、よ……
しかもそれを『異端』の彼ではなく、どうやら『狩人』の彼の方がしっかりと理解しているらしいというのも、何とも言えない。苦笑いを浮かべるロックオン、という『狩人』の顔を見れば、なおさら。
まぁ、危険がないというのは事実なのだろう。ここに連れてきたというのは。
それならば、それでいい。
「……それなら」
「そう?ありがとね?」
「……オイオイ、いいのかよ…」
ロックオンは呆れているらしいが、気にしないことにする。
こんな嘘を、アレルヤがつくはずはないから。
だから、大丈夫なのだ。