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お題が最近、めっきり進みませんが…。
04.雨のバス停
ざあざあと降る雨。
四つの壁、その一つがないだけの小屋にも見えるバス停で。
二人、ちょこんと座っていた。
隣には、年の頃が同じくらいの少年の姿。
ボロボロの服は、そろそろ捨てないといけない気がする。
大きさが、合わなくなるのも時間の問題だろうから。
それに、今にも破れて使い物にならなさそう。
にしても、彼は、どこに行きたいのだろう?
ここに、バスは来ない。
だって、ここは捨てられた場所だから。
来るとしたら……そう、目的地があるとき。
そういうときは、夢は、答えてくれる。
「……お前は、どうしてここにいるんだ?」
少年が、口を開いた。
その問いに、少し悩んで、それから返す。
行きたい場所がありすぎるから、と。
曖昧なその言葉に、少年は眉根を寄せた。
「それは……?」
つまり、いろんな所に行きたいんだ。だからここに。
そう、付け加える。
小さな頃、外に出た記憶はないからね。
「小さな頃?今も小さいだろう?」
それは、そうかもしれないけれど……ね。
思わす、苦笑する。
全くもって、彼の言うとおり。今は小さな子供の姿。
それで『小さな頃』というのは、確かに妙なこと。
……じゃあ、そういう君は?どうしてここに?
訊けば、彼も考え込んで、それからポツリと、呟くように。
「俺も……いろんな所に行って……世界を、見たいのかもしれない」
どういうこと?
「歪んだこの世界に……可能性を、見つけたいのかもしれない」
希望という、変化という可能性を。
続ける彼の言葉に、微笑む。
見つかると、いいね。
「あぁ、そうだな……」
そう、彼が言ったとき、クラクションが響いた。
見れば、目の前にはバスがあって。
笑みを浮かべたまま、とん、と彼の背中を押してやる。
「……?」
君の旅を、希望探しの旅を、僕は応援しているよ。
言って、それから乗るように促す。
アレルヤは、行きたいところはない。ありすぎて、決まらない。
だから、このバスは自分のじゃない。
このバスは少年を迎えに来たのだ。
まっすぐ、前を見ている少年を。
「……また、会おう」
うん、またね。
バスに乗り込んだ少年に、軽く手を振った。
少年も車内から、軽く手を振り返してくれた。
今回の人は刹那。
分かりましたか…?