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飛び込んできた二人の名前は沙慈とルイス、だそうだ。訊いたらとてもあっさりと話してきた。いいのかそんなに簡単に、というくらいに。
話を聞く限り、どうやら二人とも『異端』らしい。種族はケットーシーだそうだ。どこか納得できる気がした。自由な感じが。
それにしても……今現在の屋敷のこの『異端』率はどうにかならないものだろうか。人間なんて、町に出払っていて誰もいない。
それはともかく。
「逃げてきた……のですか?」
「……はい、そうなんです」
庭のテラスに連れて行き、落ち着かせてからしばらくして。
少年の方が口にした言葉に、ハレルヤは庭を弄る手を止めた。別に弄りながらでも話は聞けるから続けていたが……それどころではない発言で、ついつい止めてしまったのだ。
振り返ると、ソーマが紅茶(もちろんハレルヤが淹れた物)を口にしながら、ちらりとこちらに目やってきた。
黙っていろ、ということらしい。
「どこから、ですか?」
「都の……狩人の人たちに混ざって、雇われたっていう傭兵がいて……彼らの所から」
聞きながら、気に入らないが、ソーマの判断が正しかったと認める。大人しく映る彼女との方が、確かに色々と話しやすいだろう。
「何故、捕まって?」
「それは……」
沙慈が、ルイスの方を見て少し考える素振りを見せた。が、彼女が頷いたのを見て、言うことにしたのだろう。改めて、ソーマの方を見直した。
「ルイスの魔法のせいです。彼女が使えるのはテレポートなんですよ」
「……テレポート?……ちょっと待ってください。それで、どうして捕まると言うんです?力を使って、逃げてしまえばいいでしょうに」
「僕が人質にされてましたし……それに、檻に入れられていましたから」
……檻に入れられて?
その言葉に、微かな既視感を覚える。
昔、似たような何かがあったような……
ハレルヤが頭を回らせている間にも、話は続く。
「檻、とは?」
「入れた者の特殊な力を封じる者だそうです。魔法も、それに入るそうで……力を使うときは外に出されるんです。今回は、その折りに隙を突いて…」
彼の言ったこと。
それによって、ハレルヤの中で一つの答え、そして結論が出た。
決してその傭兵たちを、この町に近づけてはいけない。
何より、刹那と彼に引き合わせてはいけない。