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第二話のテーマは、クルー全員の心情とか何とか。
チビスターズ第二話 ⑦
こそり、と入り口の辺りから中を覗き込んだ状態で、早十分。
自分が来るより前から話していただろう二人は、それでもずっと話し続ける。いい加減、話のネタとかが尽きたりはしないのだろうか……ない気がする。あの二人は結構な仲良しだから、放っておけばしばらくは話していそうだ。世間話が終わってしまったとしても、その後はちょっとしたプチ講座が始まったりすることもしばしばだし。時間厳守な二人だから、問題はないわけだけど。
しかし今は、それがとても助けになっている。二人とも話し込んでいて、こちらに気がついていないから。
……小さくなったアレルヤの様子、その録画。
それこそが、クリスティナの今現在のミッション……というほどのものではないけれど、そんな感じのものだった。
言い出したのは、なんとフェルト。それに同調したのがスメラギ。そして、録画係に立候補したクリスティナと、たまたま近くにいたから半強制的に巻き込んだリヒテンダール。こういう四人が関係者。
彼は、上手くやっているだろうか……?刹那だから、難しいかもしれない。彼は気配を読むのが得意そうだから。
そういう意味では、アレルヤだって難しくはあるだろう。だけれど彼の場合、感じ取ったそれが、慣れ親しんだものだったら警戒を解ききってしまう。だから、それほどそういうスキルは邪魔にはならない、というわけ。ハレルヤが一緒だったら別だろうけど、今は二人は分裂中。これも助けになっている。
イアンもいるけれど、彼は気づいても笑って放っておく感じの人。気にする必要はないだろう。彼が邪魔してくるというのは無さそうだ。
などと考えているうちに、さらに十分経ってしまった。
……そろそろ、ビデオを止めてもいいかしら。
ビデオを撮り終わったら、明日のミッションの下準備をしておかないといけない。情報収集、それが一番の仕事。といっても、やることはあまり無いのだけれど。
停止ボタンを押してから、クリスティナは元いた位置からそっと離れた。
この端末を、スメラギまで持って行って、それで成功したことになる。
通路を進んでいる間にロックオンとすれ違ったりしたけれど、当然ながら何をしていたかはバレなかったし、何かをしていたとも思われていないだろう。
そのことに安堵して、スメラギの部屋のドアをノックする。
「誰?」
「スメラギさん、私です」
「クリス?いいわよ、入ってちょうだい」
許可を得て、クリスティナはドアを開いた。
……最初に目に入ったのは、床に置いてある酒瓶。
「飲み過ぎじゃないですか?」
「あら、これのこと?大丈夫よ。これは昨日飲んだものだから。今日はまだだし」
「…問題にしていることが違うと思います」
言って、クリスティナはため息を吐いた。
頼りになる人なのだけど……こういうとき、とても不安になるのは、果たして自分だけだろうか。……いや、みんな思っているに違いない。
いつになったら止めてくれるのか、と考えながらも、苦笑しながら端末をスメラギに渡した。
「ありがとう。あとはリヒティだけね」
「でも、相手は刹那ですよ?そう、簡単にはいかないと思いますけど…」
「フェルトに行ってもらったら良かったかしら?」
「油断を誘う気ですか?それも失敗すると思いますよ?」
「……よねぇ」
小さくなったら、本当に記念写真は欲しいと思います。