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えっと……性格超、捏造ですので。
(主な)登場……フェルト、?さん
そのほかはちみっこく登場。
学園の外へと本を買いに出ていたフェルトは、裏門の所で一人立っている老人を目にとめた。
誰……だろうか?学校の教師でないのは分かるのだけれど。だからといってお客様というワケでもないだろう。ここは裏門で、行くなら正門。裏門からはいるお客様、というのも……いなくはない、のか?
不審人物ではないように見えるが…。
しばらく逡巡して、結局話しかけることにする。放って横をすり抜けていくのも、寮へは遠回りになるけども正門を通っていくのも、とてつもなく後味が悪そうだったから。それになにより、純粋に誰かという好奇心もあった。何かあったら大声で叫べばいいだけの話だし。
「あの……ここに御用が?」
「ん?……あぁ、学生さんかね?オーナーに会いに来たのだが……良かったら、道案内を頼まれてくれないか?」
「構いませんが……」
本当に誰だろう。
ヴェーダにわざわざ会いに来る人間なんて、よっぽどの奇人くらいしかいないだろう。どんなに偉い人でも賢い人でも裕福な人でも、彼女を知る人ならばまず会いに行こうとは思わない。餌食になるということが分かっているのに、のこのこと顔を出すような愚行を冒す人間は少ないから。
老人は…そんな愚かな人間には見えなかった。
ということは……知らないのか?ヴェーダの人となりを。
考えて、しかしすぐにフェルトはそれを打ち消す。知りもしない相手を訪ねるなんて、それこそ妙。仕事関係の話は理事長へ行くし、学園管理の話も同様。従って、直接彼女に会いに行く理由なんて物は、そんなにないのだ。
首をかしげることばかりだが、まぁ、案内をしたところで問題はないだろう。
そう思い、フェルトは口を開いた。
「分かりました。でが、付いてきてください」
「すまない……ところで話は変わるが、ヴェーダという女性は、君の目から見て一体どういう風に映るかね?」
え?と振り向くと、老人は無言で答えを促している。
……どうやら、この人は奇人らしい。このセリフからして、ヴェーダのことを知っているようだから。多分。
となると、後はどれほど彼女を知っているかが焦点となるのだが……さすがにそれは知りようがない。お手上げだ。訊けば教えてくれるだろうが、そこまでするのも何というか……。
だから、フェルトは素直に答えることにした。
「少し……我が侭です」
「ほう?」
「でも、良い人です」
いつしか、二人は校舎の辺りまで来ていた。今日は日曜で休みの日だから、そこには生徒はおろか教師ですらいない。
だが、オーナーだけは部屋にいるはずだ。溜まりに溜まった学園所有者としての仕事を、生徒会会長の監督の元でやっているはず……子供と大人の立場が逆転しているのは、このさい気にしてはいけない。
それを思いながら、フェルトは言葉を続ける。
「仕事をさぼるし、自分が暇だからと生徒にちょっかいを掛けるし、オーナー権限を乱用するし……困った人だけど、優しくて、明るくて、楽しくて……何より、生徒のことを一番に考えていますから…」
生徒の授業妨害をするけど、生徒会の仕事を増やすけど……だからといって生徒を想っていないわけではない。ちゃんと、からかう相手は考えているようだし、その分の埋め合わせはしているようだし……変なところで公平。
きっと、そんな彼女がいなくなれば、学園の人々は悲しむに違いない。ヴェーダをあまり知らない人でも、知っていて迷惑を被ることが多い人も、よく被害を受ける生徒会メンバーも。
なんだかんだと言ってもヴェーダは、結構な人気者なのだ。
「……私の考えは、参考になりましたか?」
「ありがとう、確かに参考になった」
彼がそう言い終える頃にはいつも彼女が陣取っている、一番高くて見晴らしの良い、そんな場所にある部屋の前まで辿り着いていた。
フェルトはノックもせず、その扉を開く。どうせノックをしようと呼びかけようと、中の彼女の耳には届かないに違いないのだから。
何故なら、
「ヴェーダ!いい加減アレルヤから離れて仕事に戻ってください!あの書類は今日完成させて提出しなければ……っ」
「えー?引っ付きやすいのに……なら、ティエリアにくっつくー!」
「ヴェーダ……それじゃあ、仕事が終わりませ……って、あ…これ、いつの間にか終わらせてあるよ…」
「さすがヴェーダだな。この学園のオーナーを務めているだけある」
「いや、刹那?感心するのは良いんだが、どうしてここまで来てガンプラ組み立ててんだ?俺たちはヴェーダとティエリアを手伝いに来たんだよな?」
「茶髪ッ!チビはどうでも良いから手、動かせ!これじゃあ今日中に終わらねぇだろうがっ!帰れねぇだろ!?」
という状況だと推測されたからだ。
……いや、まさかここまで騒々しく混沌とした様子だとは、微塵も思っていなかった。予測ができた人には、拍手が送られる。
ヴェーダとティエリアがここにいるのは分かっていた。が、まさか残りの三人までもがいるとは……会話の内容で、手伝いにかり出されたのだろうということは、容易に想像づけることができた。
呆れるやら、納得するやら……なのだが。
だが今、ここには『お客様』に位置づけられる老人がいるのだ。これではマズイだろう……とてつもなく。
何をされる……というか何を言われるかと、内心でハラハラしていると、老人は自然な動きで部屋の中へと入っていった。
どうなるのだろう…不安で怖くて恐ろしいのだが。こんな状況のオーナーを見られてしまったのだから、どんなことを言われても仕方がないし、不思議でもない。甘んじて享受するしかないだろう。
「……相変わらずだな、ヴェーダ」
などと思っていたのに、彼の口からこぼれ出たのはそんな言葉。しかも優しげで、フェルトが考えていた物とは百八十度違う物。
そして、次のヴェーダの言葉は、さらに予想を上回るものだった。
彼女は驚いたように目を見開いて、呟くように言ったのだ。
「………イオリアおじ様……?」
「…………………え、おじ様?」
言葉をオウムのように繰り返したのはロックオン。刹那はどういうことか分からずに混乱しているようだ。フェルトと、全く同じ状態。
対して、ティエリアとアレルヤ、ハレルヤはというと……始めは驚いていたのに、すぐに「あぁ……」という表情になった。知っている人なのだろうか?彼ら三人はオーナーの部屋にしばしば来ているから、そういう関係で出会い済みなのかも知れない。
「ヴェーダ、君のことはこの生徒さんから聞いた」
「はいっ!…………って、え?何を聞いて?」
「学園での様子だ」
イオリアという老人の、その言葉がもたらした物は絶大な力を持っていた……ようだ。少なくともヴェーダにとっては。
彼女はハッと我に返り、急にワタワタと慌てだしたのだ。
「え……えっと、あれは……その…」
必死で言い訳だろうか…?とにかく、そういうものを探しているヴェーダの姿は、驚愕以上に新鮮さを覚える物だった。いつもの、どこから湧いて出るのか甚だ疑問な自身達は一体、どこへと行ってしまったのだろう?
「だから、それは……」
「何を慌てている?私は別に、君を責めに来たのではない」
「……え、本当?」
「嘘を言う理由があるかね?」
「ない、です……てことは………………や……やったーッ!怒られないで済んだっ!」
子供のように叫ぶヴェーダを尻目に、事情を知っているらしい三人の所へ。ちなみにロックオンは未だに呆然としていて、刹那はガンプラの世界へと戻った。今手がけているのはエクシアの二体目。最初のとはサイズが違う。
「ねぇ……あの人って?」
「イオリアさんのこと?この学園の創設者だよ」
「……創設者?」
「そういうこと。ヴェーダとも長い付き合いらしくて、彼女に勝てるのは今のところ彼だけ。何だか……イオリアさんのことが苦手なんだそうだよ」
そういうこともあるから、ヴェーダが止められないときには彼を呼ぶことがあるんだ。と、アレルヤは笑いながら言う。
……知らなかった。まさか、彼女にも弱点があったなんて。最強の女性……というか、最凶の生き物だと思っていたのに。
世の中は何があるのか分からない……と思いながら、今はにこやかに話しているヴェーダとイオリアを眺める。正確には、イオリアを。
微笑んでいる姿からは、ヴェーダを止める力を秘めているとは想像が付かない。が、アレルヤの言うことは正しいのだろう。ティエリアもハレルヤも、何も言ってこないこともあるから、それは間違いない。
なるほど。どんな者にも制御役はいるのか。
しみじみと感じ入るフェルトだった。
誰にでも弱点はあるよねって話。
ってか……イオリアおじ様の性格が分からん。喋り方も…