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地上に降りてきて。
チビスターズ第三話 ①
久しぶりに来るユニオンでの待機場所。
このために買ったマンションの中にある家具には一つ残らずホコリが積もっており、冷蔵庫の中には当然ながら食材はない。
色々と、やらなければいけないことが多かった。
ため息を吐きながら掃除機をかける。
ミッションだから仕方がないというものの、どうして大きな二人がここにいないのだろう。いるのは自分以外だとフェルトとアレルヤという、まだ十五歳の少女と、小さくなってしまった彼の二人だけ。
ハッキリ言うと、肉体労働に向かないメンツだった。それに、アレルヤと刹那は小さくなっていて高いところには手が届かないし、大きめの道具だって使いづらい。今だって、自分は掃除機をかけているというか、掃除機を引きずっているというほうが正しい状況なのだし。身長のせいだ、これは。
二人が帰ってくるのを待つ、というのも選択肢の中にはあったが……それは嫌だった。彼らが帰ってくるまでホコリまみれの部屋にいるのは、どうにも我慢ができない。
「刹那ー、そっちはどうー?」
「あと一部屋だ。フェルト・グレイスはどうした?」
「フェルト?確か、キッチンの掃除をしてたかな」
モップを引きずっているアレルヤが、キッチンの方を見て呟く。
さっきから、彼女はずっとあちらに付きっきりだ。コンロや流しだけでなく、皿やフォークといった食器もあるから、時間もたくさんかかるのだろう。
彼女が担当しているあそこは、毎日の食事を作る所。だから、しっかりと掃除はしておかないと、作る料理が可哀想なことになってしまう。
「大変だよね……。二人がいてくれたら、楽なのに」
「まったくだな」
今は午前中で、あの仲の悪い一時休戦中の二人は、今頃ミッションを早急に片付けるべく奮闘……したがっていることだろう。
あの二人は今日の朝早くにガンダムで地上に降りて、そのままミッションへ。それからしばらくして、刹那たちは軌道エレベーターのリニアトレインに乗り込んだのだった。
最短で終わる……と言っていたのに彼らが帰ってくるのが遅い理由(何故なら彼らが向かってもう、四、五時間以上は経っている)、それはなかなか紛争が起きないから、介入できないからだった。紛争が起こっていないといっても、そこは放っておいて良い状況ではなく、打つべき手はなくても彼らは待機を続けないといけなくなった。
ハレルヤではないが……ご愁傷様、である。
まぁ、その分二人に邪魔されることなく、アレルヤと一緒にいることができるから、刹那としても好都合なのだけど。三人ではあるけれど、フェルトは掃除に集中しきっているし、実質は二人っきりだ。
「でも……そろそろ休憩しないとね。そろそろお昼だし」
「もうそんな時間か?」
「うん、そうみたいだよ。………フェルトー、そろそろ休憩しよー」
「……分かった」
アレルヤの声が聞こえたのだろう、フェルトがひょこっとキッチンから顔を出した。
そのまま歩いてきて、アレルヤの真横にしゃがみこむ。
「……でも、お昼ご飯、買いに出ないと無いよ?」
「あ、そっか……買い置きはないんだったよね」
「コンビニに行けばいいだろう」
そこで適当に見繕ってくればいいと思うのだが。いっそのこと、晩ご飯も一緒に。
すると、とんでもない、という表情で二人がこちらを見た。
「刹那、ご飯は大切なんだよ?そんな出来合いのはダメだって」
「アレルヤの言うとおり。コンビニで売ってるのは味が濃いから、味音痴になっちゃう」
「そう、なのか?」
ものすごい剣幕で言ってくるものだから、刹那もちょっと考え直す。
そうか……食事というのは、そんなに大切なものなのか。食べれればそれでいいと思っていた。三食あるだけでも贅沢だ、と。
「……三食を食べれるだけでも恵まれてることだけど、栄養とかちゃんと考えないと体を壊しちゃうよ?」
「………そうか」
真剣な表情で話すアレルヤの言葉が、するりと入ってきた。
確かに、彼の言うとおり。そういうことを考えて食べないのはマイスターとして失格かもしれない。
納得して、だけれど今回はコンビニで買った方がいいだろうというのは変わらなかった。時間帯が時間帯だし、今から作るにしてもキッチンはまだ掃除中だろうし。
そう言うと、二人とも分かってくれて、結局三人はコンビニに行くことになった。
「何だか、サンドイッチが食べたい気分」
「僕は何でもいいけど」
「……ホットドッグ……」
「あ、フェルト、そういえばお金はあるの?」
「大丈夫。スメラギさんがたくさん持たしてくれたから」
「それは……服の分までか?」
「そう」
「あぁ、そっか……」
「…素直に喜べないな」
服のお金=もしかしたらスカートとか、可愛い服とかを買うお金じゃ……。
未だに『スカート化計画』は実行中なのです。