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6/18の分。
登場……トールギスⅢ、エピオン
7:風
「……よし、ウイングゼロカスタムに決闘を申し込もう」
「何故そういう方向にしか頭が回らないんだ……?」
異変を目にして、嫌な予感を覚えて来てみれば……案の定。
そこには人型になったエピオンがいて、今まさに、彼曰くライバルのウイングの元へと決闘を申し込みに行こうとしていた。
ぐっと拳を握りしめる彼に思わずツッコミを入れてしまったのは、このコロニーに訪れてから珍事件ばかりに遭遇していたからだろう。いい加減、必要があろうと無かろうと、そういう腕が上がってきてもおかしくはない。特に、自分はそっち方面のキャラクターであるらしいので、なおさらのこと。
「トールギスⅢか。どうした?」
「どうした、じゃない……お前は、もう少し事態を把握しようとは思わないのか?」
「把握はした。MSの姿から人の姿になっていたということ、それだけだろう?」
「原因を考えるとか、後遺症がないかとか、そもそも戻れるかとか……まだあるだろう?」
「細かいことを」
「細かくはない。むしろ少ない方だと思うが…」
ダメだ。目の前の彼は、とにかくウイングと戦うことしか考えていない……実に厄介なことに。彼に限らず誰でもこういう時が一番、言うことを聞かせにくいのだ。
溜息を吐くと、何かを思ったらしい。彼はこちらを見た。
「……何だ?決闘はマズイのか?」
「元の体と全く違うのだから、ちょっとした事故も起こりやすいだろう」
以前でさえ、途中で自爆する困りものがいたせいで、かなりの確立で二人が決闘(?)をする時には事故が起こったというのに。あるいは自爆が出来ない今だからこそ、事故がないということもあろうが……絶対に、ただでは済まない。ようは程度の差。ならば行動は起こさない方がお互いのためという物だろう。
というのが正論だと、自分は思っているのだが、果たして彼がそう思っているかというと、それは否としか言い難く。
こういうとき……どうして自分はこういう立ち位置に立ってしまったのだろうと、ついつい嘆いてしまう。違ったら、少しは楽だったかも知れないのに。
「とにかく……」
「分かった」
「そうか分かったか……は?」
重々しく頷いているエピオンの姿を瞳に映し、これは夢かと頬をつねる。それが一番素晴らしい結末だろうから、そうであったら手放しで喜びたいのだが……やはりというべきだろう。つねった頬は痛く、ここが現実の中だと言うことを、何よりも雄弁に教えてくれた。本当に残念だ。
ということは、本当に分かってくれたのだろうか。
しかし。
「早めに決着を付ける」
「待て!どうやったらそういう結論が出る!?」
淡い希望はあっと言う間に打ち砕かれた。
今にも飛び出しそうなエピオンの肩を掴み、トールギスⅢは彼の目を見据える、
「私の話を聞いていたか……?」
「普段と違うから、事故も起こりやすいのだろう?」
「だったら……」
「ならば、早急に決着を付ければいい」
そうすれば、事故など起こる前に決闘は終わる。
続ける彼に、最早何も言う気にはなれなかった。
ダメ、などという生ぬるい言葉では表現できない。これはもう『バカ』だとしか言い様がないだろう。バカはバカでも決闘バカ。ちなみに死んでも治ることはない気がする。
再び溜息を吐いて、これからどうしようと思った。彼は、自分の手には負えない。
どこに『風』が?と思われる文章です。しかし、確かに『風』は登場しているのです。
どういうことかと言いますと、
風=ウインド=つまりトールギスⅢのあだ名的な
なんていうことなのです。こじつけですが、ある意味あっているという。
つまり、彼が出ている=風のお題はクリア。ということ。
……ごめんなさい。