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眠っているアレルヤの顔に、ネーナがラクガキをしようとしたのを何とか止め、それから後はほのぼのと(!)菓子を食べながら話をしていた。
しばらくすると、一人、新しい人物が現れた。
黒いボロボロのロングコートに、長すぎる黒髪。それから……とても紅い瞳が印象的な子供が。
「あ!昨日の子供!」
「……知ってるのか?」
「私も知ってる……昨日、いつの間にかいなくなってたけど…何かあったの?ちょっとだけ、探してたんだけど」
その姿を認めて反応したのはネーナとフェルト。ロックオンはその子供と会ったことはなく、誰だ?としか思えなかったが。
とりあえず、少年だろう事は分かった。ああいう見た目年齢の子供は、そういうのがのがわかりにくい傾向にあるが、彼は存外分かり易い方だ。
彼はクスリと微笑んで、自分の近くにいたオレンジ色のハロを抱く。
ハロも嬉しそうで、耳をパタパタと。
……これも何だか癒しだ。
「……用事……」
「そう……用事があったんだ。なら、仕方ないね…」
「私の質問にも答え……なくていいや。また後でね」
済まなそうな子供に、残念そうなフェルト。何かを言いたそうだったが、やはり止めたらしいネーナ。
何だか置いて行かれた気分はあるが、まぁ、いいということで。
「今日は何…?またハロ?」
「え…『また』ってことは、この子ここに来るの?」
「たまに…」
「へぇ……」
「貴方も、来る…?いつでもいいけれど…」
「本当!?」
いつの間にか仲良くなっている二人を微笑ましく思いながら、ふと視線を投じると、子供が自分のすぐ横に立っていた。
気づかなかった……自分は『狩人』で、気配を読むのは長けているハズなのだが……。
彼は、気配を消すのが上手いのだろうか?そう言う問題でも、ない気がするが…。
などと思っていると、子供の傍らに唐突に『裂け目』が出来た。朝、ソーマという子が出てきたものと、全く同じ物が。
何だ?と思って見ていると、彼はアレルヤの両脇を抱えて、ズルズルと引きずってその中へと入っていく。
呆然と見ている中で、裂け目は閉じた。
……何だったんだ……じゃなくて。
「アレルヤが連れてかれた……」
「え?」
「……?でも、あの子は良い子だし…悪いことはしないと……」
「おい茶髪っ!」
とその時、再び裂け目が現れて、今度はハレルヤとソーマが出てきた。
ソーマはワケの分からない顔、ハレルヤは若干、焦っている顔。
「こっちに黒髪黒コートのちっさいのが来なかったか!?」
「今来たけど……アレルヤ連れて行っちゃったよ?」
「…………マジでか……ソーマ、次はアイツの所だ!」
「人使いが荒いですね…」
そう言った彼女が困惑したように眉根を寄せた。
「……裂け目が、開きません」