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ロクアレに、なってるんだろうか、これは……。
報告書で再提出をくう話。
6/19の分
06.再提出
「……珍しいな」
「やり直し?どうしたんですか一体」
「俺の方が訊きたい」
言いながら、ぐっと伸びをする。
始まりは報告書を出しに行く途中で、偶然ティエリアに会ったことだった。何をしに行くのかと訊かれたのでありのまま、素直に答えたらソレを確認すると言われ、取られてしまったのである。
しばらく沈黙は続き、報告書を返されたときに言われた言葉が「やり直しです。全く、この程度のミスをするとは……どうやら俺は、貴方を買いかぶっていたようですね」だったのは、何とも言えない現実だろう。しかもどこを失敗しているのかと訊いても答えてくれなかった。これも印象的といえば印象的だし、いつも通りといえばいつも通り。
一度出た以上部屋に戻るのも何かと思い、ふらりと食堂に寄ったら刹那とアレルヤがいた、ということで現状に至る。
ざっと文面を見直してみたが、記入漏れは無いように思えた。ミッション遂行の経緯などは、ハロにも手伝ってもらったので間違いは無いだろう。
では一体……と、お手上げ状態なのである。
机に無造作に報告書を起き、はぁ、と溜息を吐く。
「あの言い方だと、どっか細かい所っぽいんだけどな……」
「細かいところ……?あぁ、姑のような性格だからな、ティエリア・アーデは」
「姑って……それ、くれぐれも本人の耳には入れんなよ?お前は怖くないかも知れないが、俺たち外野組が被害を被るんでな」
「……善処しよう」
「そうしてくれ」
答え、アレルヤが報告書を手に取るのを眺めながら、本当にどこが間違ったのだろうと首をかしげる。見つからなかったら、後でハロにでも手伝わした方がいぢあろうか。あのAIは優秀な相棒だ。自分が見つけることの出来なかった事柄も、あっと言う間に発見してくれるに違いない。
「あ……ありましたよ、間違い」
しかし、その必要もこの言葉で無くなった。
ほら、と指さされた場所を覗き込む。
「ここの字、ちょっと打ち間違えてませんか?」
「あぁ……なるほどな」
間違いは間違いでも、無いようではなく文字の方のか。確かに自分の思ったとおりに細かいことで……というか良くもまぁ見つけられたと褒めるべき箇所だ。完璧主義者ティエリアに、心の底から賞賛の拍手を送りたいと今、思った。
が、刹那はそうは考えなかったらしい。フン、と鼻を鳴らして口を開く。
「本当に姑だな。相手を弄り倒すためなら、どんな細かい箇所にも目が行く」
「聞こえているぞ、刹那・F・セイエイッ!」
と、この場にあるはずのない声と共に、ロックオンとアレルヤの頭の間を、紙コップが有り得ない速さで通り過ぎていった。向かう先は刹那の顔……だったが、寸での所で彼に受け止められ、ぐしゃりと潰された。
それを確認してから振り返ると予想通り、そこには紫髪で眼鏡を着用している、先ほどから話題になっている同僚の一人の姿があった。背後に、禍々しい炎が見えるのは……気のせいだろう、きっと。
二つめの紙コップを投げ上げ受け止め、ティエリアは刹那を睨みつけている。
「なるほど、君は俺のことをそう思っていたのか……このエクシアヲタクが」
「最高の褒め言葉だな」
「……」
「……」
無言の睨み合いが始まり、二人の間に挟まれているロックオンとアレルヤは、どうしようもなく動けなくなる。ほんの少しの変化でも、刹那とティエリアにとっては十分なものだろう。あっと言う間に食堂は戦場と化す。慣れている自分たちはいいとして、そろそろ他のクルーも来るだろう。彼らまで巻き込まれるというのは、さすがに不憫というか何というか。ようは被害者を増やしたくないのだ。
どうする?と視線で問うと、どうしようもないですよね……。という返事が返ってきた。
全くもってその通り。しかし、それでも行動を起こさなければ……被害者が。
考えても答えのでない思考を悔しく思い、とりあえずアレルヤだけは何とか守ろうということに決めた。一人だけを守る、それが自分の精一杯だ。
まぁ、ロク兄の決意があろうと、ハレルヤが降臨しそうだけど…それを言ったら身も蓋もない、ですか?
これ、ロクアレにしようと思ってたのに、いつの間にかマイスターズな話に。
そういうのが書きやすいんだろうか…?