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「あ、戦いが始まったようですね」
「それはいいんだが……早くおろしてくれないか…?」
「却下です。そのままお願いします」

 答えながら、さてどうしたものかと頭を回転させる。
 あの傭兵は強い。気配などで分かる。物腰も堂々とした物で、何より戦いを好む気性の持ち主のようだ。
 だが、だからといってあの青年には勝てないだろう。

 何故なら、彼は人間ではない。そして、人間とそうでないものの間にはほとんどの場合、力の差という物が深い溝として横たわっているものだ。
 そして、さらには。
 恐らく彼は…

「…だとしたら、普通の人間でも強い『異端』でも、勝てるなんてありえないですね……」
「何か………言った、か…リボンズ」

 途切れ途切れの主の言葉。彼もそろそろ限界だろうか。
 しかし、まぁ、まだ死にはしないだろうから放っておく。たまにはしっかりと躾ておかないと、下手したらもっと危険なことに首を突っ込みそうだ。
 そうすると、困るのは自分なのである。

「いいえ、何でもないですよ」
「そ……うか?」
「喋らない方が良いのでは?」

 無茶をするのも大概にして欲しい。
 いっそのこと、気でも失ってしまえば楽だろうに。

 呆れ半分、ある意味の賞賛半分で見て、それから再び戦っている二人の方を向く。
 純粋な嫌疑だけならば、アリーの方に分がある。ここは長年の経験、戦いに対する思いなど、そういったものが物を言っているのだろう。
 だが、残念なことに青年の方が素速いし、力強い剣戟を繰り出している。あの細い腕で、どうやって……というほどの。
 これはやはり、彼が『異端』だからだろう。

 さすがにこれは…どうしようもない。
 今は経験でカバーできているが、スタミナの問題もある。あらゆる肉体のスペックにおいて、人間が『異端』に勝つことは出来ないのだから。

 しかし、どうやってでも勝ってもらわなければ。あと、あの青年が殺されても問題が生じるから、そこら辺は自分が止めるかどうにかするしかない、か。

 短時間で決着が付けばいいが…そうでないことだってあるのだから、確実に事は運ぶようにしておくべきだろうか。
 先ほど青年が裂け目のような物を作ったのを、すでに自分は『視て』いる。
 すでに準備は整っているのだ。

 見ればアレハンドロはようやく気絶したようだし、アリーは戦いに集中しきっている。他の傭兵や『狩人』はここにはいない。青年には……見られても構わないから気にはしないでいいだろう。

 ついと意識を町の方に向けると、微かに電流が走ったような感覚に襲われる。他の存在の介入を受け付けないような、ちょっとした仕掛けがほどこされているようだ。難儀な話である。
 が、それもどうやら青年か……あるいは青年の持つ物に類する力を有する誰かによって為されれている様であり、つまりは青年の力は通過してしまう。
 ならば問題はない。

 リボンズはこそりと微笑んで、ちいさな裂け目を傍らに作り出した。
 繋がっている場所は、もちろん。

 

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