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夢の中というか、その人の性格というか。
08.目をつぶって10秒
ピンク色の部屋。
たくさんの可愛らしい服。
いろんな種類のアクセサリー。
必要ない気がするほどの量の靴。
その中で、欠伸をかみ殺す。
「ね、これ着てみない?」
目の前にいるのは、お姉さんという形容が正しそうな年頃の女性。
見た感じ、とても普通なお姉さんで、普通にオシャレに気を遣ってそうなお姉さん。
そして、その印象は大当たりだったわけで。
何でかは知らないけれど、アレルヤは標的にされてしまった。
本当に……どうしてだろう?
考えて、すぐに分かった。
服装だ。見た目年齢に合わせて今は、施設にいたときの服になっているから。
だから、あまりにもオシャレからほど遠いから。
……火を付けてしまったの、かも。
ちょっとした失態だと思う、これは。
「どうしたの?君」
黙ってしまった自分を気にしてか、彼女が不思議そうな顔をする。
何でもない、と言うと笑顔に戻って、可愛らしいワンピースを手に取った。
「着てみてよ。絶対に似合うから」
……嫌だった。
何故かというと、それはあの服が、間違いなく女の子向けのものだったから。
いくら今の容姿が、男女が綺麗に別れる前のものだったとしても。
それだけは、その……やっぱり、男なので。
まぁ、この部屋は彼女の部屋だから、男物が無いのも、あの服の理由だろうけど。
「どうしても嫌?」
悲しげに訊いてくる彼女に、少しだけ心が痛む。
けれど、嫌なものは嫌なので、頭を縦に振る。
すると、途端に残念そうな顔になるお姉さん。
「そっか……あ、でも!」
しかし、何かを思いついたらしい。お姉さんは表情を明るくして、一つの装飾品を。
それは、明るい色のリボン。
「これを結ぶくらいなら、いいよね?」
……それくらいなら、いいかもしれない。
思って、こくりと頷く。
「じゃ、目をつぶって、十数えて」
素直に、言われた通りにする。
瞳を閉じて、十、九、八、七、六、五、四、三、二、一……
目を開ければ、真正面に鏡があって。
右の耳の辺りに、丁寧にリボンが結んであるのが見えた。
「可愛い!うん、次、これ付けてみて!」
テンションが上がっていくお姉さん。
身の危険を感じ、置いて急いで逃げることにした。
これ以上ここにいたら、そのうちスカートでも履かされてしまいそうだから。
走りだしたアレルヤの右耳の所で、リボンが、存在を示すように揺れた。
この後、リボンは暫く彼にくっついていきます。
誰かって言うのは、今回も言わなくても分かるような…クリスティナ、です。