[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ごぶさた、ですね。
現状把握及び、何て言うか緊張感がない話。
いやだってCBですから…普通すぎる犯罪には、あまり動じることができないんじゃないかなって…。
実際はどうでしょうかね。
チビスターズ第三話 ⑤
どうやら、自分たちは立てこもりに巻き込まれてしまったらしい。
実行犯は、つい先日に牢獄から脱獄したという男性一人。アレルヤが先ほど、新聞に彼のことが載っていたと教えてくれた。
彼は追っ手から逃げ切ることができず、やむを得ずにこのコンビニに立てこもったという話……らしい。外からはそんな内容の言葉が聞こえてくる。態勢を立て直すために逃走用の車両などを要求して、逃げ出すためにここに入ったと。
そうだとして、ここを選ぶというその判断は正しいのかもしれない。すぐに要求が通りはしないだろうから。だから食料がたくさんある、大きさも案外小さなここを場所として選んだ。スーパーなんてことをした場合、大きすぎて人質の様子を全て把握できない。対してここなら、変なことをしていたらすぐ分かる。
そう言うと、アレルヤは苦笑を浮かべた。
「……ねぇ、フェルトって案外、冷静じゃない?」
「そうかも。これくらいCBにいたら、どうってことないから」
「あぁ……それもそうか」
納得した様子の刹那。
CBにいるということは、いつでも危険に曝されているということ。だからこそ、こんな『普通』の犯罪には、あまり動じられないというか……実はこれは、結構損なのではないだろうか。
「で、どうする?脱出するか、ここで大人しくしておくか」
「大人しくしていた方がいいと思うよ。僕らだけなら何とでもできるけど……」
「レジの女の人がいる…?」
「そういうこと」
度胸があれば、存外なんでもできるものだ。
それが、フェルトたち三人にはあるが……あの女性にまでそれを求めるのは酷、というものだろう。なんせ、彼女は一般市民だろうから。実は格闘技のプロでした、という小説のような話があるわけもない。それならばとっくに、銃を持つ男を殴りでもしてから組み伏せているだろう。
そういうわけで、ネックがある以上、行動は起こせなかった。しかし何とかしなければ……ミッションが終わってしまう。
終わってしまったら……あの二人が、来る。
ハレルヤとティエリアが……。
それだけは非常にマズイ。本当に、何が何でもそれだけは阻止しないと。あの二人のことだから、ことの顛末を知れば、ガンダムで押しかけてくることだって有り得ないとは言えないのだ。いや、冗談抜きで。
だけれど多分、脱出は無理だろうとも思う。少なくとも、現段階ではどうしようもない。
「紅龍さんがいたら、あっというまに片付くのにね」
「それはもしもの話だ。考えても意味は無いだろう」
「だよねぇ……」
「…二人とも、緊張感がなさ過ぎるよ」
いつも通りに会話をする彼らに、呆れにも似た感情を抱きながら、フェルトはため息を吐いた。
脱出できない以上、できるだけ目立たないようにしないといけないのに。これでは犯人の目につくのも時間の問題な気がする。二人の態度は、この場に全くそぐわないものだったから。
「大丈夫だよ、フェルト」
しかしその心配を、アレルヤが微笑みながら打ち消した。
「彼から見て、僕らは単なる小さな子供。だから、状況を理解してないんだろうって、そう思うに違いないよ。そのくらいの判断ができるほどなら、冷静さを残しているようだし」
「完全な興奮状態ではないというだけだが、十分だ」
「この話さえ、聞かれなければね」
くすりと笑うアレルヤに、相変わらずの刹那。
二人の表情はちょうど犯人からは見えない。背中を向けているから。
……なるほど。こういうことも考えての配置か。
フェルトだけ彼の方を向いているのは、そうしないと不自然に見られるからだろう。三人全員が背を向けていたら、それはとても変だろうから。しかし小さな二人だけだったら、自分があの様子(女性に男性が銃を向けている様子)を見せないようにしているとでも取ってもらえる。
「二人とも、色々と考えてるんだ…」
「それはまぁ…」
「当然だ」
一度顔を見合わせてから、刹那とアレルヤは同時に口を開いた。
フェルトよりは年上だから。
……事実だから何も言えないけれど、自分よりも小さな二人に言われると、複雑な気もしなくはない。
「こうなると、ミッションが長引いてることに感謝、だよね」
「あぁ、それもそうだな」
「もし普通に終わっていたら……あの二人もここにいたかな」
「フェルト、それ洒落になんないよ…」
「そうなった場合、俺たちは自分の身より犯人の身の安全を気にしていただろうな」
「……それって、結構不思議な状況だね」
とりあえず、今は大人しく。
ここまで緊張感が無いかどうかは分からないけど、あんまり動じないだろうなとは。犯人を倒して警官に引き渡すくらいはしそうな気がする……。
それができないのは、目立ったらマズイし人質が居るから。ついでにいうと子供の姿で、腕のリーチも実感として分かり切ってはいないでしょうしね。