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ていってもアレルヤ出てこない。
出てるのはハレルヤ。
けど…なんか、刹那とハレルヤが仲良しだな…こういうのが好きかも。
07.半熟
「一つ訊きてぇんだけど」
一体何度目になるだろうか。数えるのも面倒なほどに地べたに倒され、白い天井を眺めている…そんな自分を覗き込む顔があった。
長い前髪で顔の半分を隠している彼。ただし今回見えているのは、右の金色の瞳。
ハレルヤ。アレルヤの片割れ。
ゆっくりと身を起こす刹那に、彼は呆れともつかない視線を送ってきた。
「どうしていきなり、『俺』に頼み事なんざしてきたんだ?しかも素手で実戦っつー無茶な頼み。体格的に無謀だろ」
「別に。ただ……強くなりたいからな」
刹那はそう呟いた。
ガンダムの操縦には、操縦者の思考が大きく反映される。避けるだけでも、右に避けるか左に避けるか、あるいは飛んで、そもそも避けずにシールドで防ぐ、という選択肢がある。それ故に、考えを、行動を読まれてしまえばどうしようもない。今は『ガンダム』という巨大な力の前、圧倒的優位に立ってはいるが…しかし。
例えば、人革連の、超兵が乗っているという桃色のティエレン。
例えば、ユニオンの、どこか操縦者がストーカーのような気がしなくもない、中にいる人間に遭いたくないような気のする、しつこすぎるフラッグ。
例えば……過去、自分を兵隊に仕立て上げた男が乗る機体。
例を挙げれば、これほど自分たちを脅かす存在がいるのだ。同性能の機体に乗られたとして、その時彼らにどこまで抵抗できるか。
考えて、少しでも強くなろうと思った。操縦の能力もそうだが、次の動作を読まれないようにという事も。そのためには自分の戦う時のクセや、とっさの時に取る反応について知らなければならない。無意識かの行動こそ、最も重宝し、最も気に掛けるべき箇所だ。
だからこそ、こうして。
「今回は、踏み込みが早すぎたな……」
先ほどの攻撃を反省してみる。途中までは調子が良かったのだが、最後の最後でツメを誤った。上手くいけば、この訓練を始めてからやっと、彼に一撃を入れる事ができたかもしれなかったのに。
はぁ、と溜息を吐いて、ハレルヤが言う。
「お前って、結構力押しが多くねぇ?もう少し慎重になれよ」
「慎重…どの口で言っている……?」
出てきては毎回、やりたい放題している彼に言われたくは無かった。どこが慎重なのだろう、あの行動たちは。まだ使う段階ではない装備まで使っていたし。アレルヤの苦労も考えて行動して欲しい。見ているこちらが悲しくなる。
そのことに今更ながらに気付いたのか、軽く頭を掻いて……それから、何事も無かったかのように彼は言葉を続けた。もっと気にしろ。
「…ったく。テメェも懲りねぇよな…その根性だけは認めてやる」
「お前が他人を認めるのか…?珍しい気がするな」
「……ガキ、いっぺん死んどくか?」
半眼になる彼に、刹那は首を横に振って見せる。
「断る。死んでしまったら世界を変えることが出来ない」
「世界を変える、ねぇ……」
ハレルヤはドカリ、と腰を下ろした。
「俺は、ハッキリ言うとどうでもいいけどな。ま、せいぜい頑張れよ、ガキ」
「ガキじゃない、刹那・F・セイエイだ」
「ガキはガキで十分だ」
軽く額を小突かれた。加減されていたのだろう、あまり痛くない。
「今、アイツは寝てるから言っとくが……未熟なガキにはアレルヤは渡せねぇぞ?」
「…強くなったら渡すとでも?」
「まさか。いつまで経っても渡さねぇ」
「……だろうな」
想像通りの返答だったので、落胆も何もなかった。
そもそも味方なんて物は必要ない。全ては自分の力で。それでこそ意味があるのだから。
刹那は立ち上がり、ハレルヤにも立つように促した。
さぁ、また倒されて、天井を眺めることにしよう。
全ては、戦いの中で自らを知り、強くなるため。
今度こそ、大切な物を無くさないように。
そのために、俺は強くなる。
半熟=未熟。
刹那は、自分に弱点があったら、それをちゃんと直そうとする子だと思います。弱点=死に繋がる世界で生きてきたから……だから、見つけたら直す。そのためには最短ルートを。時間を取りすぎても死んでしまいます。
ハレルヤと刹那が、互いを認め合ったライバル兼実は仲が良い兄弟、みたいな関係だったら良いなと思います。ただ単純に、良い、そう思うのですよ。ハレルヤだって、敵意がない相手には優しく(?)してくれるはず。アレルヤ絡んだら話は別でしょうが。そこのさじ加減は必要ですね。