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東京組の話。
~00:茶色のお題 03.愛妻弁当(東京組)~
明日は……もしかしたら、大災害でも起こるのではないだろうか……。
そんなことを思いながら、沙慈は目の前にある箱……否、弁当箱を見ていた。これを彼に渡したのはルイスで、中身を作ったのも当然彼女だ。
珍しいなんてものではない。いつもは、あるとしても沙慈が作ってくる方。つまりは基本的には逆なのだ、基本的には。ルイスも料理は普通に出来るが、どうやら彼女は彼の料理のことを気に入ってくれているようなので。
「ね、沙慈。食べてみて」
「う……うん」
キラキラと楽しげな表情で催促するルイスに勝つことができるはずもなく……といっても、勝つ必要はどこにもないが……とにかく、沙慈は卵焼きを箸でつまんで、口へと運んだ。日本風の弁当にしているところ、なかなか気配りも出来ている……なんてことを思いながら。
そして。
「あ……おいしい」
「本当!?」
「うん…これおいしいよ、ルイス!料理、前より上手になった!?」
「えへへ……前から練習してたからね」
照れくさそうな彼女を見ていると、何だかこちらが暖かな気分になる。
本当に美味しかった。最初の方で『大災害が起きる』なんて考えしまったことを、とても申し訳なく思うくらいに。
「ルイス、また作ってくれる?」
「もちろん!あ……でも、まだ沙慈より上手じゃないけど…」
「練習する?なんなら僕も手伝うし」
そう言うと現金な物で、ルイスの表情がぱあっと明るくなった。
「よし!じゃあ、今から沙慈の家に行こ!」
「ちょ……ルイス、まだ学校終わってな……」
「いいからいいから」
「良くないってば……」
溜息を着くと、ならば、と彼女は頬をふくらませながらも言う。
「学校終わったら、絶対ね?」
「分かったよ。約束する」
「よーし、決定っ!」
そして、彼女はとても嬉しそうに笑った。