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「いましたか?」
「町中探したし、スメラギさんにもクリスティナにも聞いたけれど……ダメだった」
「そちらは?」
「紫のおかっぱの美少年でしたっけ?……それらしい人は見あたりませんでした。ね、ルイス?」

 こくりと頷く金髪の少女を見、そうですか……とソーマは顎に手を当てた。
 知らない方が可能性は高いとはいえ、聞けもしないというのは些か気に入らない。知る可能性は低いというだけで、ゼロではないのだ。確認も出来ないというのは自分の性に合わない。

 にしても町の中にいないとは、どういうことだろうか。今、彼が行くとしたら、それは物事の起こっている場所、中心部。
 だが、それが推測できたとしても、そこがどこだか分からないという所から問題だ。先ほどハレルヤたち四人が裂け目を通って行った先、だとは思うが……そもそも、それについてもお手上げ状態である。もはや、どうしようもないと言っても過言ではないだろう。

「あのぅ……さっきから気になってたんですが」
「何です?」
「どうして、そのティエリアさんだったら知ってるかもしれないんですか?そういうのは、魔法を掛けた張本人しか分からない物ではないかと思うんですけど……」

 不思議そうに、沙慈が言う。
 単に気になったからという、それだけの理由からの問いだったのだろう……が、ソーマはそれを受けて非常に焦った。

 まさか『ティエリア・アーデの屋敷の地下には、訊けば何でも教える鏡があるからです』などと馬鹿正直に言えるわけがない。『もしかしたら彼が、術者に関しての問いをしているかもしれない』と。

 どう返すべきかと必至で頭を巡らせていると、思わぬ場所から助け船が出た。
 フェルトである。

「ティエリア……どうして知ってるかが分からない事を、良く知ってるの…私たちは調べている方法は分からないけど、情報はいつも正確だから……」
「そうなんですか?」
「え…えぇ、そうなんです」

 ホッと胸をなで下ろしながら答える。
 確かに、ヴェーダの事を知らないフェルトらからすれば、そういう事だろう。日頃から付き合いがあるから、大切なのは手段でなくて正確さ。非合法的な手段は取らないだろうという信頼があるから、手段に関しては気にとめない。代わりに情報に目が行く。

 沙慈たちはそうでは無いが、それでも彼女が言えば納得するしかない。彼について、その情報について、知識を得るのは自分たちを通してしか方法が無いのだから。疑いようがないのだ。

「町にいない、ということは……森の方なのかもしれません。狩人たちがいるという」
「…行くの?」
「私は。三人は残っていてください。危険かもしれません」

 気付けばもう、町の出入り口の一つに来ていた。
 くるりと振り返って三人に釘を刺し、ソーマはそのまま町から出ようとして……何かにぶつかった。

「っ……!?」
「…ソーマ?」

 訝しげなフェルトの声に、『何か』は目に見えない物なのだと知る。
 では何かといえば、それは恐らく透明な壁なのだろう。町のいたる場所に埋め込まれた結晶を利用しての壁。唯一の防壁。

 発動していたのかと気づき、それから違和感を覚えた。
 結晶を使用した場合のこの壁は、発動する際に異端の能力に作用する…のではなかっただろうか。内部にいる異端の力を封じ込める。融通が利かないから、直しようもなくて。そう、教えて貰った記憶がある。

 今日の途中から力が使えなくなったのは、この壁のせいなのだろう。
 では、どうして自分は今、力を使えるようになっているのか?
 

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