[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
招く気の無かった相手がそこにいて。
…ほんの少しの後悔を。
チビスターズ第三話 ⑩
ティエリアとのケンカ……ではなくて、紛争に介入というミッションを終了させて帰って来た頃にはもう、日は暮れていた。
昼抜きで撃ち合い…もとい、作戦を実行していたから、今はかなり空腹だ。いつもの三倍は食べられる気がする。
「アレルヤー、帰ったぜー」
「……フン」
言いながらドアを開く。
すると、
「あ、二人ともお帰りなさい!」
「…遅かったな」
「ミッション、大変だったの?」
「メシ出来てるから速くこっち来いよ」
という四つの声が…………四つ?
……どういうことだこれは。三つなら分かる。アレルヤに刹那にフェルト。地上に降りたメンバーが五人で、内二人はハレルヤとティエリアなのだから三人分の声は聞こえてきてもおかしくはない。だがそれは、裏を返せば四人目がいるのは有り得ないということでもある。六人、降りてきたわけではないのだから。
では一体……?
少し考えて、四番目の声の持ち主に思い至った瞬間、ハレルヤは玄関に盛大に靴を脱ぎ散らかして、リビングの方へと走っていた。ティエリアが後ろで何かを叫んでいたが、それどころではない。
短い廊下を全速力で駆けて行き…そして、そこにいたのは案の定。
「茶髪……何でテメェがいるんだよ…っ」
「ん?ミッションでちょっとな」
「デュナメスはまだ、整備中のハズですが…」
ゆっくりと歩いてきたティエリアが、ようやくリビングに入る。
「なぜ、地上に?」
「助けに来てくれたんだよ。僕ら、立てこもりに巻き込まれちゃって…それで」
「……は?お前、そんなもんに巻き込まれたのかよ」
アレルヤの言葉を聞いて、思わずハレルヤは呆れた。
全く……どうしてそんなものに。警戒なんてわざわざしなくても、怪しい人物が入ってきたらすぐ分かるだろうに。で、逃げてしまえば終わり。
逃げ損ねたとしても、犯人を一発殴ってしまえばそれでいい。非常に苛立たしい話ではあるが、人革連の施設にいたときの訓練が役立つだろう。それに刹那。彼は幼い頃から実践を経験しているのではなかったか。どうしてロックオンの助けを必要とするような状況に陥ってしまったのやら。
というかそもそも、そんな遭遇率の低い犯罪に引っかかったクジ運の悪さに、いっそ感服する。そんなことになるのは、あそこでエプロンを身につけている貧乏くじぐらいのものだと思っていたのだが……どうやらそういうわけでもないらしい。
一つ、無駄な知識が増えてしまった…。
それはともかくとして。
「怪我はないんだな?」
「あ、それは大丈夫。みんな怪我無いよ?」
……『みんな』でなくて『アレルヤ』が怪我をしていなかったらいいのだが。
自分のそんな本心に気づかず、片割れは言葉を続ける。
「ハレルヤたちは?ミッション、終了が遅かったみたいだけど……」
「いや……別に」
アレルヤの問いに、ハレルヤはこうとしか返せなかった。
本当のこと……ミッション終了後にティエリアとケンカ開始、オーバーフラッグズが来ても徹底無視して撃ち合いを続けていた……だなんて言えるワケがない。
ちらり、とティエリアの方を見れば、彼も同じように考えたようで。
二人、目を合わせてこっそりと、こくりと頷き合った。
「…?どうかしたの?」
「何か隠しているな…?」
「オイオイ、何だよそれ。気になるじゃねぇか」
「私も聞きたいな…隠し事」
「ノーコメントだ」
「そゆこと。こればっかりは…なァ?」
教えたら、お前は怒るだろ?
……そして、怒り出したら止められないのでではないでしょうか。
普段大人しい人が怒ると、手が付けられないですよね。あぁ……フェルトも同じようなものでしょうか。まぁ、彼女が怒るシーンは分からないのですが。