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08は拍手の方に。
登場……デスティニー、ザクウォーリア、レジェンド
9:本
それは、公園を歩いていたときのこと。
これは、人間になっていたとしても……どうせパターン的に明日の朝には戻っているだろうが、少しは慣れておこうかと考えての行動だった。それ以上でもそれ以下でもなく、邪魔なのが二人も付いてきたがそれはさておいて。
「……何だ、この本」
「忘れ物?」
「こんな怪しい本をか?」
「呪いの本かも知れないぞ。読んだら呪われるとかいう」
「本当にありそうで、ツッコミも入れられねぇよ……」
しげしげと真っ黒な本を眺めるザグウォーリアと、その本を手にとってパラパラと捲っているレジェンドを見て、こいつらには警戒心ってのがないのか……と、デスティニーは溜息を吐いた。どうして自分は、こいつらのお友達ポジションにいるんだろうか。
とりあえず問題の本をレジェンドの手から取り上げ、表紙を見る。
題名を読み、軽く目を細める。
「ノワールの私物か…?」
「あ、有り得そうかも!」
きゃっきゃと笑う彼女のテンションが妙に高いのは、コロニー全体で起こっている、この不思議な現象故だろうか……そうかもしれない。というか、それ以外に理由が見つからない。天気が良いから、なんて理由でここまではしゃぐのは無いだろう。
そんなザクウォーリアに対して、レジェンドがやけに大人しいのは気になるところだが、気にしていたからといって、これから起こるかも知れない人災(今回は人間になっているので文字通り)を避けられたためしはない。気にはなるが放置しておくべきだろう。今はこの本の存在が一番の議題だ。
黒い本をレジェンドに返し、それが置いてあったベンチに座る。
「にしても、何だよその題名」
「なになに…『誰でもカンタン!やさしい呪いの掛け方 ~初級編~』か……確かにノワール辺りの私物に見えるが…」
「簡単、がカタカナでカンタンって書かれてるとこがむかつく……って何だよ」
じっとこちらを見つめる視線に、軽く身じろぎ。居心地が悪い。
何か言いたいなら言え、とばかりに目を合わせると、レジェンドは口を開いた。
「もしかして、お前の私物…」
「ンなワケあるかッ!オレがそういう物を持つ人間に見えるか!?」
「元はMSなのに人間というのはどうなんだ?」
「ツッコむとこそこか!?ってか今は人間なんだからいいんだよ!」
「そうか。しかし、人は見かけによらないという」
「お前はオレの中身も知ってるだろうがッ!初対面じゃ有るまいし!」
「……突然、お前に関するそういう部分だけ記憶喪失になった。擬人化の影響か?」
「嘘だな!?絶対に嘘だな!?」
「……あ」
ふいに、いつの間にかレジェンドの手から本を取り、中身を見ていたザクウォーリアが声を上げた。
どうした?と視線を向けると、指さされたのは本の内容、その小見出し。
『人外を人外にする方法! (期限は貴方が飽きるまで!)』
「……レジェンド」
「デスティニー、何だ?」
「これ、本当に誰のだ?」
「だから、お前、」
「違うって言ってるだろーが!?てーか、だったら今頃擬人化解けてんだよッ!」
叫んで、本を奪って立ち上がる。
おそらく、コレが今回の騒動の原因。そして、コレを実行したのが元凶だ。
呪い、という点ですでにノワールは除外されてしまった。彼の霊感はゼロ。呪いなんてことができるとは思えない。こっくりさんすら成功しなかったというのに。持ち主、という線は捨てがたいが……それでもかまわない。手がかりはできる。
くるりと、デスティニーは踵を返した。
向かうはホワイトベース。
ていうか……誰だよ、こんな迷惑な事態を引き起こしたの。
ちょっとした核心(?)に触れた感じ。呪いって……。
さぁ、どうなるでしょうか。どんでん返しで、別の理由があるかも知れないし(未定)。