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「……で、この子たちが逃げてきた、ということ?」
「うん。そう言ってる。それにソーマもハレルヤも信じてた」
「そう……」

 そういうことならば、信憑性は高い。あの二人は根拠のない事を無闇に信じたりはしないだろうから。

 納得して、スメラギはその『逃亡者』たちを見た。
 二人とも少々不安そうに、部屋の中を見ている。無理もない。彼らにとってここは始めてくる場所である。僅かばかりでも警戒する事は必要だろう。捕まっていた後、というなら尚更。

 案外しっかりしている子たちだと微笑みながら、町長室に備え付けのキッチンで紅茶を淹れ、棚から菓子を出す。話を聞くのだから、相手が言い出しやすいような雰囲気を作ってやるのも大切な事である。

「フェルト、貴方はもう戻って良いのよ?イアンさんが心配していない?」
「大丈夫。まだ、お昼を少し回った程度だし……夕方までに戻ったら」
「そう?なら、ここにいて頂戴」

 大人の自分といるよりは、同じくらいの年代のフェルトがいた方が、来訪者の二人も話しやすいだろう。全ては雰囲気作りが要。そして、それを分かっているからこそ、彼女はここに残ると言ってくれたのだろう。ありがたいことに。

「そういえば……沙慈が、訊きたいことがあるって」
「訊きたいこと?」
「ティエリアの両親のこと。どうしていないんだろうって不思議がってるけど……どうしていないの?私も知らない。そういえば、アレルヤとハレルヤの両親のことも知らないし……」

 一瞬だけ、手が止まった。

「……いきなり、どうしたの?」
「えっと……僕、ティエリアさんが未成年って聞いて、なのにどうして屋敷の主なんてやってるんだろうって、思ったんですけど……訊いては、いけないことでしたか?」

 心配そうに問うてくる沙慈の言うとおり。
 それは、ある意味でタブーの質問だった。

 まさか全てを話すわけにも行かないが、何も語らないのはかえって怪しい。となれば、伝えても支障がないことをある程度、というのが無難な所だろう。
 溜息を吐き、スメラギは紅茶を三人の前に出す。

「実はね、ティエリアは養子なの。どこかの施設で見つけた彼を、妻に先立たれた前の屋敷の主は引き立ったそうよ。その際、同じく施設にいたあの双子を引き取った」
「え……でも、あの二人は異端でしょう?そして、施設といえば人間が作る場所…」

 その通り。だから、孤児院などに親のいない異端が入っていることは希だ。そういう理由から保護者のいない異端の子が、盗賊などに拾われていく事が度々あるのだが……。

「けれど、あの双子は完全な異端じゃなかった。人の血が入っていた。だからかしら……その施設の責任者は彼らを引き取った……そんなところ。今の責任者は、異端だろうと人間だろうと関係無く、困っている人には手を差し伸べるけれど」
「今の……知り合い、ですか?」
「えぇ。古くからの知人」

 今頃どうしているだろうかと、その彼の顔を思い浮かべ……そういえば、彼の友人がここら辺に来ている、という話があったと思い出す。到着は……確か、五日後、だったか。

「とまぁ、そういうことで、どうしてもティエリアが跡継ぎとして欲しかった前当主は、あの双子と一緒でなければ拒否するという彼の言葉に従うしかなかった。そして三人の子供を連れて帰って育てた。そういうこと。十年前に、いなくなったけれど…」

 それはもう、唐突に。前触れも何もなく消えてしまったが。


 町の住人は、誰も心配もしなかったし気にも掛けなかった。
 何故なら彼は……
 

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