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 目覚めると、辺り一面血の海だった。

「どぅえぇぇぇぇ!?」
「あ、ミハ兄が起きた!」

 思わず飛び起きると、隣でちょこんと正座をしていたネーナが嬉しそうに声を上げた。
 数回深呼吸をして冷静になって辺りを見ると、そこは惨劇の場……といっても、自分たちの今までの行いが行いなので、それほど物珍しいモノではなかった。まぁ、ここまで大事にしたことは、兄弟揃って一度もないが。

 とりあえず状況を把握しようと、気絶する前の事を思い出してみる。まず、自分は町にいて、子供が現れてそして……体を乗っ取られて。

「ミハエル・トリニティ、君の体を乗っ取ったモノが、着物能力を使用してこの惨状を作り出したのだが」
「へぇ、そうなん……ってマジでか!?」
「嘘を言う理由がない」

 ちゃっかり血の付かない場所まで移動して、そこに腰を下ろしているティエリアは、どこか難しい表情でいる。どうやら悩みの種があるようだが……何なのだろう。自分には考えも付かないような難しいことなのだろうか、やはり。

 彼の隣には、木にもたれ掛かって仏頂面をしている刹那がいた。嫌なことでもあったのだろうか。それから、傍らにいるソーマは少し怪我をしているらしい。裂け目を作り出して、そこから手当道具を取り出していた。

「えっと……状況説明を誰か?」
「君の中にいたモノを追い出した後に、別の敵が現れた。彼らとは交渉できる余地があったからな…提案を呑ませた。少々意地の悪い物言いをしたが…所詮は敵だ。気にすることは無い。結果として敵は回収物を回収して去った。それが気に入らないらしい…刹那・F・セイエイは、だが」
「当然だ」

 むすっとしたまま、刹那が言う。苦々しさといった物はないようで、純粋に不機嫌なだけ、らしい。

「アリー・アル・サーシェスまで逃がす必要はなかった。アイツだけでも殺しておけば」
「そこまで望むには無理がある状態だっただろう。力を封じられていて、尚かつあの傭兵を倒せる誰かがいるとでも?ネーナ・トリニティが動けたのは奇跡に近い幸運で、それでも倒せ無かっただろうに。……逆に異端の力を封じていなくても、あの刃物から逃れる術は無い。交渉も何も有った物ではなかっただろう。結果として君が決断をしたことで、俺は最善の選択肢を取れたということだな。そこだけは……認めてやる」

 何だか良く分からないが、とりあえず、刹那のお陰で危機的状況を抜け出すことができた、というのは分かった。ティエリアの交渉によっても。
 自分が知らないうちに、色々とあったようである。

「てーかさ、刃物とかいうなら、兄貴が全部凍らせりゃ良かったんじゃね?」
「全員に向けられている幾つもの刃をか?無理を言うな…出来なくはないだろうが、相手の方が速かったらどうする。全員を守ることはできないぞ」
「……ま、そりゃそうか…」

 いくら強い兄と言っても、不可能なことや限界は当然、存在している。
 だから今の状況は、先ほどの状況を知らないから言えるのかも知れないが……最善の状況なのだろう。

「そういえば、他の三人は?ここにはいねぇけど」
「後片付けに行きました。ある意味、こちらより大変かと思われます」
「後片付け?」
「はい。今後も貴方のようなケースが出ないように、厳重に片付けると思います」

 つい、とソーマが視線をある方向へと向けた。
 ミハエルもつられてそちらを見たが、あるのは茂っている木々のみ。向こう側に三人がいたとしても、自分には分かりようも無いことだった。
 

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