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『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい——』
意識が浮上し、頭が働くようになってから、ゆっくりと辺りを見渡してみると、そこはどこか……家の庭のようだった。
一体何が、と混乱する頭で先ほど何があったかを整頓し、思い出した。そう、自分たちは突如現れた『穴』の中へと落ちて…。
そこまで考え、共に落ちた双子の事が思い出され、ロックオンは慌てて周辺の気配を探った。それらしい気配が有れば、おそらくは分かるはずだ。
しかし、感じるのは静かな空気の流れ。ひとの気配などどこにもなかった。
そうそう上手く行くものではないか……と、溜息を吐く。こういう場合は、離ればなれになるか、一塊になっているかの二つに一つである。そして今回は前者だったと、つまりはそういうことなのだろう。酷く不都合なことに。
こういう妙な場所では、できれば傍にいた方が良い。あらゆる状況に対応するには、相手が近くにいなければ始まらないのだ。何より、離れていると互いの意思の疎通ができない。たった一つの行き違いでも、致命的な何かになることだってあるのだ。用心に越したことはないだろう。
さて、どうするか……と思い、違和感を覚える。
それは、先から密かに感じていた物。
ここには、気配がなさ過ぎた。静かすぎたのだ。
どういうことかと首をかしげ、止まっていても仕方がないので歩き出す。
少し行って、建物の白い壁の角を曲がったところで……見知った背中に出会った。
「ハレルヤ!?」
「ん?あぁ、テメェか」
答えるハレルヤにはまるで、実体がないように思え……気づく。自分にも、実体が無い。
驚いていると、若干疲れた様子の金色が見えた。
「ここはユメの中だ。実体なんざ、ありゃしねぇよ。有るのはどうせ、思い出したくもねぇ昔の事だけだ」