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彼はやっぱり存在自体が電波なので、こういうことしか考え込んだりしないのではとか。
いや、それは言いすぎな事くらい熟知しておりますけども。
他にもきっと、色々と考えているハズ…。
12:雪
「あぁ、困ることが一つあるな……」
本日の髪型はツインテールのゼータが、ミカンを向きながら呟いた。
顔がなまじ整っているから、こういう髪型では一見すると完璧に少女……というのが何とも言えない。が、本人はあまり気にしていないようなので良いのだろう。多分。
服はまたもや着せ替え人形とかしており、ズボンをはいてはいるものの……身につけているのは女性向けの服。顔が整いすぎなのも考え物である。あと、本人の気にし無さもまた。そろそろ気にして苦情でも言え。
にしても……。
マークⅡはちらりと彼の傍にあるゴミ箱を見やった。ミカンの皮が山積みになっている黒いゴミ箱を。ちなみに、これはゼータ一人による犯行である。
一体、どれほどミカンが好きなのだろう。これは『好き』を通り越して『愛している』のレベルなのではないだろうか。
頬杖を付きながら溜息を吐く。
「困る事って……何だ?」
「いや……今のボクたちは大きくなっただろう?」
「まぁな」
MSと人間の大きさの違いには、色々と泣きを見たことがある。例えば運動会の50メートル走の時なんて、人間のりぃなに手も足も出なかった。リーチの差が歴然とそこに存在していたから。今なら勝てるかも知れないが。
「で?それがどうかしたのか?」
「……かまくらが作りにくくなる」
「………………………は?」
想像外の言葉が耳に届き、思わずマークⅡはゼータを凝視していた。
口から零れたのはたった一文字だったが、それでも頑張ったと自分のことながらに思う。一瞬思考がフリーズしてなお反応を返せる自分の能力に多大の拍手を送りたい。
しかし、そんな事情を察するゼータではない。そもそも、どうして自分がこんな反応をしているかすら分かっていないに違いないのだから。
そういうわけなので、彼はいたっていつも通りに言葉を続けた。
「今までは小さかったから楽だったな……」
それが残念だ…。
そう呟くゼータに、思わず脱力した。
改めて考えてみても納得できる。彼が『困る』と言うことだったら、確かにこういう事柄だろう。他の誰かだと思いも寄らない事というか……一般に『どうでもいい』と分類されること。さすがは電波系、とでも言うべきか。
だがそれでも、そんなことを今考えていると誰が想像できるだろう。先の自分のように、思いもよらない言葉に驚いてしまうだろう。……ダブルゼータあたりだったら、ちょっとは違う反応を返すかも知れない。
まぁ、言うとおりではある。大きくなればなったぶんだけ、掻き集める雪の量が多くなってしまうのだから。その分ほど掻き出す雪の量も増えるというわけであり。やることが変わらなくても、そこに費やす労力は激増する。
……のは分かる。分かるが。
「どーして今、それを言う?」
「気になったんだ。……そういえば、今の季節設定は何だ?場合によっては季節外れの話題だが……」
「そういうのは、俺らが考えなくてもいいんだよ!ていうかそれ決めてたら、色々困ることが起こるっての」
「それもそうか……では春夏秋冬のどれでもない季節…今は五季目、か?」
「勝手に五番目の季節を作んなよ…」
そんな物を制定して、名前を一体どうする気だ。
…プラスかメタスか…誰でも良い。とにかく帰ってきて欲しい。
一人では到底ツッコミきれない。
何気に『五季目』がお気に入り。本当にあったら不思議だなとか。春夏秋冬どれでもない季節……想像付きませんね。