式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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何というか……シリーズ化しそうな二期捏造、第二弾。
『脱出』の後の話です。
あくまで捏造なので、あしからず。
ドサッという音が耳に届き、刹那は林檎を切る手を止めた。
振り返ると、そこにはアレルヤが居る。これは当然のことだ。彼を救い出したのはつい先日のことであり、メディカルルームのベッドで休息をとってもらっているのだから。むしろ居なくなれば、艦内を探して回らなければならない。
刹那はそんな彼の世話をしていた。本来ならばティエリアが、という話だったのだが、その権利を奪い取った。ありがたく使わせてもらっている。
……というのは置いておいて。
何故か、アレルヤは床にへたり込んでいた。
「…アレルヤ」
「えっと……ちょっと動いてみようかと思ったんだけど…」
問うように呼びかけると、苦笑が返ってきた。
どうやら彼の言うとおりらしく、ベッドから降りようとして、しかし足腰に力が入らずにそのまま……という状態のようだ。
刹那は溜息を吐いた。何も出来ないのが嫌なのは分かるが、長い間ろくに動けなかったために筋力も衰え、体力も著しく低下しているのだ。あまり無理はせずに、ちゃんと休んで欲しい。
もちろん休んで欲しいのは、そんな理詰めの理由からだけではなくて、長らく彼を助け出すことが出来なかったという事実に対しての罪悪感があったからでもある。折角自由になったのだから、ゆっくりとして欲しいのだ。
彼の出番が来てしまう、その日まで。
そう。出番は……来てしまうのだろう。
四年経っても変わらず歪んでいるこの世界なのだから。
たとえ自分が、彼が戦場に向かうのを止めたいと思っても。
きっと来てしまう、その時。
自分たちはガンダムマイスターなのだから……
「刹那、アレルヤ」
そんな思考は開いたドアの音と共に響いた声によって中断させられた。
音のした方を見て、アレルヤが微笑む。
「やぁ、ティエリア」
「……その様子だと、まだ本調子からはほど遠いようだな」
「こればかりは……ね」
「焦る必要はない。徐々に調子を戻していけばいいのだから」
そう呟きながら歩いてきた彼は、切っている最中の林檎を目に留めて方向転換した。中途半端に放置されているリンゴが気になって気になって仕方なかったのだろう。こういう几帳面なところは……本当に変わらない。
包丁代わりに刹那が使っていたナイフを取るのを確認し、アレルヤの傍へと向かう。
すご真横に立つと、彼は不安そうにセラヴィーのマイスターを見ていた。
驚く。他人にちゃんと気を遣っているティエリアを見て、少しは感嘆しているかと思ったのだが……この反応は予想外だ。
「どうかしたのか?」
「いや……大丈夫なのかなって」
「何が?」
「…ティエリアって料理が苦手じゃなかっ、」
「痛ッ」
丁度彼がそう言ったところで、ティエリアがタイミング良く指を切った。
行動で『料理下手です』と自己申告しているようで、何だか可笑しい。が、笑うのもどうかと思うのでやめておいた。本人が頑張っているのは何となく分かるし。
そう冷静に見ている刹那と対照的に、アレルヤは大慌てだった。
「あぁぁぁぁぁ!ティエリア血!血が出てる!」
「心配するな、アレルヤ。いつものことらしい。フェルトが言っていた」
「いつものことじゃ余計に心配じゃないか!」
「……それもそうか」
正論である……が、今回は完璧に問題ない。
忘れられていそうだが、ここはメディカルルームなのである。
「……ところで」
「…?」
「少し歩くか?俺がサポートする」
ティエリアには聞こえないようにこっそりと、しゃがんで耳打ちをすると、アレルヤは驚きの表情を浮かべた。
「ティエリアがリンゴを切ってくれているのに?」
「切り終わる頃に戻ればいい」
「ってことは置いていくの?」
「構わないだろう」
というか、二人になりたいのに彼が付いてきたら邪魔なだけなのだ。
そんな刹那の本心には気づかずに、でも……と悩んでいる様子のアレルヤ見て、さてどうするかと考える。どうにかして説得しなければ、彼は動こうと(一人じゃ無理だが)しないだろう。つまり、第一条件に『説得する』という項目が、消せないくらいにハッキリと存在しているのだった。
しかし、事はそう上手くいかないもの。
左手のいたるところ、僅かに左手首にも赤い筋を作ったティエリアが来たからである。表情は憮然としている。
リンゴの乗った皿をアレルヤに渡した彼は、凄まじい形相でこちらを睨め付けた。
「……抜け駆けとは良い度胸だな」
「あの距離であの音量の声が届いたのか…地獄耳だな」
「話を逸らすな!」
互いに敵意をむき出しにしている中、そんな二人の足下から動きたくても動けないアレルヤに申し訳ない気持ちはある。あるのだが……だが、今は目の前の敵に集中しなければならない。手を抜けばやられるし、本気で潰さなければ妨害が行われる。
敵意が殺気に変わり、刹那とティエリアが身構えた、その瞬間。
「ドア……開けっ放しなんだけど…」
「ったくお前ら…近所迷惑考えろってんだ」
「フェルトにラッセか…」
ちらりと訪問者を見て、再びティエリアの方を向く。
突然の来訪に気が抜けたために殺気は削がれたものの、敵意は未だに健在だ。
それが分かったのだろう。ラッセは盛大に溜息を吐いた。
それからツカツカと歩いてきて、アレルヤの腕を掴んで勢いよく彼を立たせた。
「うわっ!?」
「こんなとこに居たら悪影響しかないからな」
「行こ……あと二人とも、アレルヤが大好きなのは二人だけじゃないんだからね…?」
「え、え、えぇぇぇ!?」
状況を呑み込めないままに両側からフェルトとラッセに支えられて、アレルヤは連れ去られてしまった。
残ったのは、突然のことに唖然としている刹那とティエリア。
少しした後、我に返った二人は慌てて三人を追った。
……これは何オチというのでしょうね。
振り返ると、そこにはアレルヤが居る。これは当然のことだ。彼を救い出したのはつい先日のことであり、メディカルルームのベッドで休息をとってもらっているのだから。むしろ居なくなれば、艦内を探して回らなければならない。
刹那はそんな彼の世話をしていた。本来ならばティエリアが、という話だったのだが、その権利を奪い取った。ありがたく使わせてもらっている。
……というのは置いておいて。
何故か、アレルヤは床にへたり込んでいた。
「…アレルヤ」
「えっと……ちょっと動いてみようかと思ったんだけど…」
問うように呼びかけると、苦笑が返ってきた。
どうやら彼の言うとおりらしく、ベッドから降りようとして、しかし足腰に力が入らずにそのまま……という状態のようだ。
刹那は溜息を吐いた。何も出来ないのが嫌なのは分かるが、長い間ろくに動けなかったために筋力も衰え、体力も著しく低下しているのだ。あまり無理はせずに、ちゃんと休んで欲しい。
もちろん休んで欲しいのは、そんな理詰めの理由からだけではなくて、長らく彼を助け出すことが出来なかったという事実に対しての罪悪感があったからでもある。折角自由になったのだから、ゆっくりとして欲しいのだ。
彼の出番が来てしまう、その日まで。
そう。出番は……来てしまうのだろう。
四年経っても変わらず歪んでいるこの世界なのだから。
たとえ自分が、彼が戦場に向かうのを止めたいと思っても。
きっと来てしまう、その時。
自分たちはガンダムマイスターなのだから……
「刹那、アレルヤ」
そんな思考は開いたドアの音と共に響いた声によって中断させられた。
音のした方を見て、アレルヤが微笑む。
「やぁ、ティエリア」
「……その様子だと、まだ本調子からはほど遠いようだな」
「こればかりは……ね」
「焦る必要はない。徐々に調子を戻していけばいいのだから」
そう呟きながら歩いてきた彼は、切っている最中の林檎を目に留めて方向転換した。中途半端に放置されているリンゴが気になって気になって仕方なかったのだろう。こういう几帳面なところは……本当に変わらない。
包丁代わりに刹那が使っていたナイフを取るのを確認し、アレルヤの傍へと向かう。
すご真横に立つと、彼は不安そうにセラヴィーのマイスターを見ていた。
驚く。他人にちゃんと気を遣っているティエリアを見て、少しは感嘆しているかと思ったのだが……この反応は予想外だ。
「どうかしたのか?」
「いや……大丈夫なのかなって」
「何が?」
「…ティエリアって料理が苦手じゃなかっ、」
「痛ッ」
丁度彼がそう言ったところで、ティエリアがタイミング良く指を切った。
行動で『料理下手です』と自己申告しているようで、何だか可笑しい。が、笑うのもどうかと思うのでやめておいた。本人が頑張っているのは何となく分かるし。
そう冷静に見ている刹那と対照的に、アレルヤは大慌てだった。
「あぁぁぁぁぁ!ティエリア血!血が出てる!」
「心配するな、アレルヤ。いつものことらしい。フェルトが言っていた」
「いつものことじゃ余計に心配じゃないか!」
「……それもそうか」
正論である……が、今回は完璧に問題ない。
忘れられていそうだが、ここはメディカルルームなのである。
「……ところで」
「…?」
「少し歩くか?俺がサポートする」
ティエリアには聞こえないようにこっそりと、しゃがんで耳打ちをすると、アレルヤは驚きの表情を浮かべた。
「ティエリアがリンゴを切ってくれているのに?」
「切り終わる頃に戻ればいい」
「ってことは置いていくの?」
「構わないだろう」
というか、二人になりたいのに彼が付いてきたら邪魔なだけなのだ。
そんな刹那の本心には気づかずに、でも……と悩んでいる様子のアレルヤ見て、さてどうするかと考える。どうにかして説得しなければ、彼は動こうと(一人じゃ無理だが)しないだろう。つまり、第一条件に『説得する』という項目が、消せないくらいにハッキリと存在しているのだった。
しかし、事はそう上手くいかないもの。
左手のいたるところ、僅かに左手首にも赤い筋を作ったティエリアが来たからである。表情は憮然としている。
リンゴの乗った皿をアレルヤに渡した彼は、凄まじい形相でこちらを睨め付けた。
「……抜け駆けとは良い度胸だな」
「あの距離であの音量の声が届いたのか…地獄耳だな」
「話を逸らすな!」
互いに敵意をむき出しにしている中、そんな二人の足下から動きたくても動けないアレルヤに申し訳ない気持ちはある。あるのだが……だが、今は目の前の敵に集中しなければならない。手を抜けばやられるし、本気で潰さなければ妨害が行われる。
敵意が殺気に変わり、刹那とティエリアが身構えた、その瞬間。
「ドア……開けっ放しなんだけど…」
「ったくお前ら…近所迷惑考えろってんだ」
「フェルトにラッセか…」
ちらりと訪問者を見て、再びティエリアの方を向く。
突然の来訪に気が抜けたために殺気は削がれたものの、敵意は未だに健在だ。
それが分かったのだろう。ラッセは盛大に溜息を吐いた。
それからツカツカと歩いてきて、アレルヤの腕を掴んで勢いよく彼を立たせた。
「うわっ!?」
「こんなとこに居たら悪影響しかないからな」
「行こ……あと二人とも、アレルヤが大好きなのは二人だけじゃないんだからね…?」
「え、え、えぇぇぇ!?」
状況を呑み込めないままに両側からフェルトとラッセに支えられて、アレルヤは連れ去られてしまった。
残ったのは、突然のことに唖然としている刹那とティエリア。
少しした後、我に返った二人は慌てて三人を追った。
……これは何オチというのでしょうね。
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