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 結局……お目当ての扉が見つかったのは、探し始めてから大分経った頃だった。まぁ、ここで感じる時間の流れは本当のものと違うので、実際は一秒にも満たない時間だったのかも知れない。

「……で、本当にここだな?」
「本当だよ。そのくらいは分かるさ」
「んじゃ行くぞ」

 ハレルヤは扉を押そうとした。
 ……のだが、一つ、言っておくことが。

「ねぇ、ハレルヤ。注意した方が良いよ?」
「は?何を注意しろっていうんだよ」
「いやだって……それ丁度、出口が天井に出るから。普通に入ったら落ちるよ」
「え」

 だがしかし、言い終えたときには既に遅かった。片割れは扉を開けて、片足を中へと踏み入れていたのだ。このままいけば、顔面が床と挨拶をすることになり……それはさすがに可哀想だと思う。

 どうしようと考える間もなく、アレルヤは行動を起こしていた。
 即ち、異端としての能力の行使。

 そして結果、ハレルヤの体は扉の向こうの部屋の中で、宙にフワリと浮くことになった。これで落ちる心配は無いだろう。床に足を付けることが出来るか、という問題は出てくるがそれはそれ。要は落ちるか、降りれないか…どちらを取るかだけ。

「さ、ロックオンも入ってください。いきなり床と仲良くなることはないですから」
「……何したんだ?また例の『力』ってやつか?」
「違いますよ。これは元から持ってた力です。後付けの『力』とは別です」

 言いながらも中に入り、無重力の空間に身を預ける。もう少しだけ、この状態でいたいと思った。最近は……というか、この家に住むようになってから、こういうことをめっきりしなくなったので、少々懐かしく思えたのだ。養父がいなくなってからも、あまり使わなかった。感情の一部分を引き離した結果、力も上手く引き出せなくなったからだ。

 しかし今は違う。自分の中には暗くドロドロした感情も罪の意識も、あの頃アレルヤ自身を押しつぶそうとしていた全ては、ちゃんと身の内に戻ってきている。だから、ほとんど元通り。あとは向かい合って、受け入れるだけだ。

「…うわ……ちょっと気持ち悪くなりそうだぜ…」
「慣れればどうってことはないですよ?」
「慣れりゃな…」

 入ってきた、あるいは降りてきたロックオンが何とも言えない顔をしているのを見て微笑み、そろそろいいかと力を解いた。そして皆が着地したのを認め、ほっとする。これで変に…例えば頭から着地されたら、力を使った意味がない。
 ん、と伸びをしながら狩人がこちらを向いた。

「元々の能力は、重力操作ってとこか?」
「はい。そうです。結構便利なんですよ、これ」
「ふぅん…じゃ、ハレルヤにも能力とか、あるわけ?」
「……訊くな」

 とたんに不機嫌な顔になる片割れに、思わず笑ってしまう。軽く睨まれたが関係ない。面白いものは面白いのだから。
 それから、状況把握の出来ていないロックオンに、ちょっとした解説を送る。

「ハレルヤの能力って派手さに欠けるというか……」
「地味なんだよ、地味。ったく…何であんな力なんだよ…」
「けど…僕のよりは使い道があるよね」

 こんな説明だったので、どんな能力だ…とロックオンが首をかしげたのは、言うまでもないことだろう。
 

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