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騒動が一応は収まってからの。
……ていうかフェルトさん、そんな余裕はどこに?
チビスターズ第四話 ⑩
今、デパートは立ち入り禁止になっていた。
理由は言うまでもないだろう。地下にあった爆弾、その存在が警察に知れたからである。
あの解体された爆弾たちを見て、立ち入った警察は何を思っただろうか。仰天したか、夢かと思ったか……驚きは、半端な物では無かっただろう。ぜひとも見たかったが、警官にこんなことで顔を覚えられてはたまったものではないと、現場からは出て行くこととなった。地下にいたら関係者と思われて違う意味で目立つ。それはマイスターとして歓迎できない事、なのだそうだ。……どうでも良いと思う。
そうそう、関係者といえば。あの男と女はどうなっているだろう?二人一緒に縄で縛り上げ、男の方の顔面に『私たちが犯人です』と書き殴った紙を、念のために貼っておいたのだが。とりあえず、重要参考人として連行は当然だろう。
というか。
「……買い物出来てねぇじゃん」
「僕としてはそれで嬉しいんだけど…」
はぐれるのを防止するために、ハレルヤと手を繋いでいる小さなアレルヤが呟く。
今、五人が居るのは立ち入り禁止テープの目の前。現在進行形で行われている避難誘導を眺めているところだ。大丈夫とは分かっていても、念のために一般人が全員出るのを見ておこうと言うことになった。その中に、あの二人の共犯がいないとも限らない。そういうのは臭いで分かるので、ちゃちゃっと取り押さえようと、つまりはそういうことである。
まぁ、それだけではないが。
ここにいない六人目のことを思いながら、ハレルヤは列を見た。
怪しい人物の取り押さえというのも目的の一つ。だが、一番の目的は最後のメンバーが店から出てくるのを待つことにあった。
「遅いね…」
「混んでいるからな。少々遅くても不思議ではないだろう」
「というか……何故、フェルト・グレイスは別行動を取る?」
不思議そうに首をかしげる刹那だったが、生憎、その答えを知っている者はこの場にはいない。全ては彼女しか知らないことである。
「分からないけど……何か、嫌な予感はあるかな…」
「そうか、アレルヤ。……奇遇だな、俺もだ」
「何だろうコレは……トレミーにいた時みたいな……いやいや、まさか…」
「選択肢が幾つかある」
「…?」
ぴっと、立てられた指は三本。
「一、これからの事態を受け入れる。二、抵抗を続ける。三、逃げる」
「じゃあ三で」
即答だった。
しかし。
「残念だったな、刹那。お前の手は俺がしっかり握ってるから逃げらんねーぞ?」
「くっ……このロリコンが…ッ」
「ドンマイ、刹那……って僕も?」
「ご名答。ま、同情くらいはしてやるよ」
言いながら、見るからに落ち込んでいるアレルヤを抱き上げる。
「うわっ……ちょっとハレルヤ、こういうことするなら、先に言うとか…」
「こっちの方がいいだろ?文句言うなよな」
「そうだけどさ……あ、フェルト来たよ」
恥ずかしいのか微かに頬を赤くして、ふてくされた様子の片割れだったが、ピンクの髪の少女を見つけて少しだけ表情が変わった。恐怖、それが一番、彼の今の心情に相応しい言葉だろう。あるいは刹那にも当てはまるかも知れない。
フェルトの手には、紙袋。
多分…中身は洋服。
「アレルヤ」
「……何?」
「何が出てもいいよう、いい加減に腹くくれ」
「っ……無理!無理無理!無理だから本当!」
さぁて、どんなのが飛び出してくるんだろうな?
フェルトは事が終わって直ぐに向かったのですよ。