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 気づいたときには、周りの風景が一変していた。
 延々と続く廊下ではない。そこは、大きな教会の内部だった。

「えっと……これ何?」
「ここは俺も来たことねぇけど…ま、害はねぇから心配すんな」
「ってことは何だ?お前、ここが何か分かってんのか?」
「ここは…庵、ですよ……」

 眠たげな声が耳に届き、ついと視線を向ける。
 そこには眠そうに瞳をこすっているアレルヤがいた。欠伸をしたりしていることから、もう少し眠っていたかったろうことが推測される。

「ハレルヤ……下ろして…頭に血が…」
「足下フラフラが何言ってんだよ。下ろさねぇから」
「だいじょーぶだよ……」

 大丈夫ではなさそうだった。先ほどの暴走(?)のせいではなく、頭に上った血のせいで。いい加減、下ろすか運び方を変えるかした方が良さそうなのだが。

 そこは分かっているのだろう。下ろす気のないハレルヤは、黙ってアレルヤの体勢を変えた。抱えられている体勢でなく、横抱きにされる体勢に。いわゆるお姫様だっこ。
 一瞬、思考が止まった。

「……っ…ハレルヤ!良いから下ろしてっ!これ恥ずかしいからーッ!」
「んじゃ、抵抗でも何でもどーぞ?どうせ体に力入ってねぇだろ」
「うっ……」

 図星だったらしい。押し黙るアレルヤを見て、ようやく頭が活動を再開する。
 あれはそうだ、単なる双子の戯れであり、それ以上でもそれ以下でもない。そうに違いないというか、そうであって欲しいというか……いや、というかどうして自分はこんなことを考えているんだろうか。

 ぐるぐると回る思考を一旦シャットアウトし、二度目の再起動を行ったときには冷静な頭が戻ってきていた。色々と、質問したいことも。

「なぁ……庵、っていうのは何だ?」
「僕らが勝手に呼んでるだけで、実際はそんな物ではないんですけど…小部屋、みたいなものだと思ってくれると」
「っても王様限定で使用できる小部屋だけどな」
「王、ねぇ……」

 そこら辺は、アレルヤから事前に説明を受けているので理解は出来た。
 魔王は二つに分かれてしまった。力も二分され、魔王を形成する二つの物も分かれてしまった。心……即ち『魔』の部分と、形……即ち『王』の部分に。
 といってもこの分け方は、三人で考えた物らしい。考えた末、こう思うのが一番しっくり来たのだそうだ。

 変身癖とも言えそうな姿の変貌は、それ故なのではないかと彼は話していた。形を受け継いだ自分だから、それ相応だともいえる姿になる。自分の意思も関わっているから、それは尚更に……と。

「庵はたくさんあって、色々な役割を持ちます。先代の魔王が何かを残していたり、自分も隠し物を出来たり。共通することは一つで、必ず『外』のどこかに繋がっていること」
「ってことは出れるわけか」
「多分な。どこに出るかは知らねぇけど」

 それでも出れるのなら、それほど嬉しいことはない。どこに出たとしても、裂け目を使って行けばいいだけの事だろうから。

「じゃあ行きましょう……ところでハレルヤ」
「ん?何だ?」
「背負うとか、他の選択肢を取って欲しいなぁ、とか……」
「却下」
「え…酷くない!?」

 ……そんな二人のやり取りがおかしくて、ついつい笑ってしまうと、咎めるような視線が向けられた……のだが、顔が赤いせいで攻撃力は皆無だった。
 

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