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今日はあそこに行きましょう
あそこがどこか?決まっているよ
とっても楽しいらしい、あそこ。
チビスターズ第五話 ②
「ロックオン、今日はミッションも何もないんですよね?」
「ん?あぁ、そのはずだけど」
どうした?と訊けば、ニコリと笑みが返ってきた。
「どこか、みんなで出かけてみませんか?たまには楽しいと思うんです」
「ピクニックとか?いいかもな」
「でしょう?」
幸い、フェルトが買ってきた服は普通の男の子物だったので、外に出るのに不自然な……というか、小さくなった二人が不憫になることはないだろう。面倒だとか言うだろうハレルヤも…ティエリアさえも、アレルヤが頼めば簡単に折れるだろう。そして、それは刹那も同様だ。
つまるところ、問題は全くない。
それでも強いて問題を上げるならば、どこに行くかという目的地が無いことだろうか…。
だがしかし、それは意外なところから解決案が出された。
「遊園地に行けばいい」
意外なところ……刹那である。
彼の唐突にも聞こえる言葉に、アレルヤが首をかしげた。
「遊園地?」
「あれだ」
指さされた先、そこにはテレビがあった。
どうやら休日の過ごし方、という特集を報じているらしく、映っているのはここからあまり遠くない場所にある、遊園地。今日は子供の入園料は無料で、大人の入園料は半額らしかった。まぁ、この場合……子供というのは見た目的に(あくまで見た目的に)、アレルヤと刹那になるのだろうが……。
刹那……それでいいのか?
おそらく提案の理由が『無料+半額』であろうエクシアのマイスターに、問うような視線を送る。気づいてもらえなかった。
だが。
「遊園地かぁ……ね、刹那って行ったことあるの?」
「無い。アレルヤは?」
「僕もないな」
「そうか」
何でもないように交わされる言葉のやり取りに、思わずロックオンは固まった。
今……二人は何と言った?
『遊園地に行ったことがない』……と言わなかったか?
固まった思考が活動を開始するのに、少量の時間が必要となったのは仕方がないことだっただろう。
そして……全てをしっかりと理解したロックオンは、座っていたソファーからガバッと立ち上がった。
驚いている二人に宣言する。
「よし、遊園地に行くぞ!」
十六歳と二十歳が、遊園地に行ったことがないなんて酷い冗談だ。特に二十歳の方とか。
それだけでなく、何より…守秘義務があるから過去の色々は知らされていないが、そんな暇のない子供時代だったのは良く分かっている。ならば、今回の事態はある意味都合の良い事柄だったのかも知れない。
だったら、今日は思い切り楽しんでもらおう。
そういう笑みを向けると、キョトンと顔を見合わせた後、二人はこちらを見た。
片方は分かり難かったものの、両方ともどこか楽しそうで、嬉しそうだった。
「ってなわけで、今日は遊園地行くぞ」
「面倒です。俺は地上は嫌いですから、あまり外には出たくないので」
「はぁ?何でンな事しねぇといけねーんだよ」
「そんなこと言って……ハレルヤだって興味あるんだろ?行ったこと無いし」
「なっ……そんなワケあるかッ!俺は絶叫系に乗ってみたいとか思ったことねぇよ!」
「…乗りたいのか、ハレルヤ・ハプティズム。素直じゃないな」
「ティエリア・アーデ、かく言うお前もちゃくちゃくと準備を進めているが」
「一人で留守番も良いと思ったが、アレルヤが心配だからな。あと…一つ訊きたいんだが」
「私が答えれることなら……」
「観覧車はどのくらいの高さだ?」
「やっぱりテメェも行きたがってんじゃねぇかッ!」
みんな素直じゃないね。
(行きたいなら行きたいって言えばいいのに)
マイスターで、遊園地なんてものを体験しているのはロク兄くらいのものかと。