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それが、常識。



18.ナイフとフォーク



 大きな大きな長い四角い机。

 その上には、これまた大きな白いテーブルクロス。

 そして、そこ一面にあるのは数々の甘い物。

 ケーキにクッキー、パフェ、ゼリー。

 どれもこれもデザートばかり。

 まぁ、甘い物は嫌いじゃないけれど。

 これは……やりすぎだと思う。

 とりあえずこの夢の主を捜そうと歩いて、一人の少女を見つけた。

 赤い髪に金色の目が特徴的な人。

 その人は本当に楽しそうに、嬉しそうにデザート達を食べていく。

 何気なしに近寄ってみると、気づいたらしい。彼女はこちらを見た。

「お客さん?めっずらしー」

 持っていたスプーンを置いて、少女はまじまじとこちらを見た。

「こんなとこに来るのって、兄兄ズだけだと思ってたのに」

 物好きっているのね。

 そう言って、少女はこちらにクッキーの乗った皿を差し出した。

「ま、珍しいお客さんだし。サービスね?」

 皿を受け取った自分を見て、少女は笑う。

 それにつられてアレルヤも笑い、その兄弟はどうしているのかと訊いた。

 彼女の言い様だと、たまにここに来るようだが…。

「兄兄ズ?えっと…一番上の人は本に囲まれてる」

 …もう一人は?

「好きな事、色々やってると思うよ?」

 好きな事、と何をしているか限定していないという事は、色々とやっているのだろう。

 その『色々』が少し気になりはしたが。

 敢えて訊くことでもないかと、問いは発さないことにした。

 代わりにクッキーを一つ摘み、口に運ぶ。

 チョコのクッキーだった。

「おいしい?」

 問われ、こくりと頷く。甘すぎず、丁度良い味だ。

 もう一枚を手に取った時。

 一つ、気づいたことがあった。

 皿をテーブルの上に置いて、少女に向かい合う。

 ん?とこちらに視線をやる彼女は、今はケーキを口に運んでいる。

 もちろん、スプーンを使って。

 妙な話。なぜなら、そこにはフォークもある。必要なさそうだがナイフも。

 スプーンよりは、フォークの方が使いやすいだろう。

 どうして使わないの?

 問えば、彼女は何言ってるの?という顔をした。

「そんなの決まってるじゃん」

 ピッとスプーンをこちらに突きつけて、一言。

「だってフォークもナイフも刃物よ?刃物って、人殺しの道具じゃない」

 そんなのでスイーツ食べたら、味が落ちそうだからイヤなの。

 言って笑う彼女に、笑い返す。

 全く持ってその通りだった。


だって、それは武器に成り得るから。
(それを言ったらスプーンもだけど、例外くらい、ね)



今回は分かり易すぎますね。ネーです。
彼女は三人の中の代表的な感じで。
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