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「にしてもアレルヤ、嫌なら引きずり出される前に戻れば良かったのでは?」
「そうしたいのは山々だったんだけど…あれ、しばらくあのままじゃないと、型くずれが起こるから。体に馴染ませる期間というか何というか…」
「下準備ですか」
その『型くずれ』とやらは酷く気になるが、あまり見て楽しい物ではないのだろうなと推測する。少なくとも、彼にとっては避けるべき事態なのだろう。そうなると……やっぱり、見てみたいような……。
などと思いながら、ソーマは先ほどの彼の姿を思い出してみる。
ベースは、いつもの『力』を行使する時の姿だろう。あれの青年の姿の時のを、女性の体に変更してかなり華奢にして背を縮めたらあんな感じだ。
あと……可愛い。容姿が整っていた。
「そういえば、どうしてあそこまで嫌がるのです?いつもの貴方なら苦笑しながらでも引き受けるでしょうに」
「昔はね……確かに、そうだったよ…」
アレルヤは言いながら、遠い目をした。
……訊いてはいけない事柄だったのだろうか…。
不安に思いながら、しかしソーマは続きを促した。そういう顔をされるとさらに気になるのは生きとし生けるもの、全てに当てはまる事に違いない。
「で、どうして変わったのです?」
「…………襲われかけた」
「……あぁ、なるほど」
変身後の見た目が見た目である。細さとか容姿とか一番の理由であろう性格といった色々な要因が折り重なって、そういう事態になってもおかしくはない。むしろ、そうならない方を想像するのが難しいとさえ思える。
「苦労しているのですね……」
「うん。で、その襲ってきた女の人は、直ぐにティエリアが追っ払ってくれたんだよ」
「なら、大事にはならなかったようですけど…………女の方、ですか」
「かわいいから可愛がってあげるって……」
「よーく、分かりました」
それは間違いなくトラウマになる。パーティ期間中は変身を解くわけにもいかないだろうし、解いた方が危ない気もする。アレルヤの容姿は(認めたくないが、まったく同じ容姿のハレルヤも)整っているし性別も問題ないから、そっちの方が何というか……危険だ。拉致られる可能性も増してきそうだ。
ならば、とソーマは首をかしげた。
性格はどうしようもないとして、どうしてあんな容姿に設定しているのだろう?そんな災厄の元、直ぐに変更して普通の、にすればいいのに。
そう言えば、アレルヤは困ったように笑った。
「けどね……相手に見合う容姿じゃないと、周りに対しての説得力が無いんだよ」
「まぁ、周りからのアプローチを防ぐために行っているのですし」
「だから、そうするワケにもいかなくて……」
「普通の女性に恋人役を頼めばいいと思うのですが…」
そうすればアレルヤもその役割から解放されるし、万事解決なのではないだろうか。というかそもそも、彼に女性に変身してもらって役を行ってもらうというのに理由がみあたらな……いや、理由なら『アレルヤだから』で充分か。
「それが一番なんだろうけど、ティエリアはそういう気は無いらしいんだよね。ハレルヤも妙に乗り気になるし」
「あの二人が手を組めば勝ち目はゼロですね」
「……でしょう?」
溜息混じりに答える彼を見て、ソーマは純粋に疑問を覚え、口を開いた。
「ところで、いつまでそこに立っているつもりです?」
「もう少し。僕はそれするの本意じゃないって示しとかないと…」
「かないと?」
「調子に乗って、何度もやらせるから」
「…特にハレルヤなら、やりそうですね」