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二日目。ちゃくちゃくと日付が進んでるなぁと実感します…。
今回はチビスターズより。
02.生まれてこの方
「……」
「どうかしたの、刹那?」
「いや…」
売店で物言いたげに棚を見上げている刹那を見て、アレルヤは首をかしげた。
かしげながらも彼と同様にして見上げてみると、そこにあったのは刹那が好きだと言いそうにはない類のお土産品の数々。したがって、何かが欲しくてジッと見ていたというわけではなさそうだ。
では、何故だろうか?
視線で問うと、彼はあまり大したことではないが、と前置きをしてから言った。
「……棚があまりに高すぎると、取れないものが出てくるな、と…」
「あぁ……それはあれだね、小さい人の宿命だよね」
そういうことかと納得して、大きい誰かでも、ここでは一番上の品物を取るのは難しいのではないだろうかと思う。
どうしてだかこの売店、置いてある棚が高いのだ。
多分、一行の中で一番背が高いハレルヤでも、一番上にまでは手が届かないだろう。近くに置いてある足踏み台を使っても、果たして届くかどうか……。だからこそ、脚立までもが置いてあるのだろう。
「……遊園地の売店が、ここまで不親切で良いのか…?」
「えっと……まぁ、子供が欲しがりそうなのは上には無さそうだし……売店もあんまり広くないし、物を置くにはこうでもしないとってことだと思うんだけど…」
「土地をケチったのか…?」
「使える場所が無かったんだと…」
「なるほど、建設計画を失敗したのか」
呆れた様に言う刹那は、自分ならばそんなヘマはしないという自負を持っているようだ。
まぁ、マイスターに失敗は許されないしな……と納得して、とりあえず手に届く一にあったお菓子の詰め合わせを数個ほど取る。
当然、全てお土産である。
「アレルヤ、スメラギ・李・ノリエガには菓子より酒の方が良いと思うが」
「うん、そっちの方が確かに喜ばれるだろうね……けど、少しは抑えてもらわないとこっまるからさ、できればそっちは選びたくないんだ」
持って帰ったら、受け取った瞬間に嬉々として開けそうだし。
その光景がハッキリと浮かんだのか、刹那はこくりと頷いた。
「良く分かった」
「そう?そう言ってくれと幸いかな」
微笑みながら、大人たちを探す。正確には精神年齢が二十歳の自分も大人だろうが、どうしてもこの背丈だとそうは思えないので除外である。
とにかく、これを買うには財布を持っているロックオンを探し出さなければならない……の……だが。
見渡す限りの他人の集団を見て、溜息を吐く。
「見つからないよね…」
はぐれるなと片割れに言われていたのだが……これは、どちらが離れてしまったのだろう。……どっちでもいい気がするが。
「探しに行くか」
「だね」
刹那の言葉にアレルヤは頷いて、それから二人は手を繋いで歩き出した。
普段ならばかき分けなければならない人混みは、しかし小さな自分たちには親切だった。
進もうとする方にいる人々がそれとなく避けてくれたり、避けようとしない人に注意してくれたりするのだ。
お陰で歩くのは酷く楽である。
「たまには……こういう超常現象もいいかもしれないね…」
「……?どうした?」
「いや、何となく思っただけ」
そう頻繁にあったら、さすがにそうは思えなかったかもしれないが、この経験は今まで生きてきた中では初めてである。
だからこそであったとしても、アレルヤはほんの少し、今の状況が楽しい物だと思えた。
実はこのお題、けっこう難しかった…。