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絶対に国連大使は彼に頭が上がりませんよね。
登場……アレハンドロ、リボンズ
孤児院を視察していたとき偶然、彼を見つけた。
一目で気に入り、すぐさま養子にしたのだが……
「あぁ、帰っていたんですか、アレハンドロ様」
失敗だったかもしれない。
優雅にソファーに座って紅茶を飲んでいる彼。名前はリボンズという。
彼こそアレハンドロが何年か前に養子にした少年で、今は途美学園の一年C組に在籍している。優等生しか迎え入れない寮に入ってもかまわない、と学園側から言われてきたほど頭のよい、自慢の息子……のハズだ。
何故『ハズ』なのかというと、それは。
「そうそう、アレハンドロ様。このまえ見せてもらった新しいセキュリティプログラム、あれは穴だらけでした。いくら趣味でお作りになったとはいえ、もっとキチンとした物にはならなかったのですか?」
どうしてなのか、彼はアレハンドロを虐めるのが好きなのだ。だから、素直に良い息子だと言えない。
もう慣れてしまったとはいえ、やはりどこか悲しい物があーる。
ため息をついて、アレハンドロはリボンズの正面のソファに腰掛けた。
「どうかなさいましたか?」
「……いや、何でもないよ」
ここで下手に反論すると、百倍どころか千倍……いや、軽く万倍になって返ってくるのは身をもって知っている。それで、どれだけ傷ついたことだことだろうか。
「それよりも、学校はどうだった?」
「いつも通りですよ。ネーナが刹那にちょっかいを出して仕返しされ、沙慈はルイスに振り回され。平和でしたね」
そう言うリボンズは少し、楽しそうだ。
学校は変わらず楽しいらしい。ということは、無用に突っかかってくる者はいないということだ。もしもそういう輩がいたら『つまらなかった』とだけ、返ってくる。
ほっとする。以前、彼をからかった少年「が」リボンズに返り討ちにあい、しばらく学校に通うことができなくなるほど鬱になったことは、まだまだ記憶に新しい。
「学校といえば、こんなものをもらってきました」
差し出されたのは、一枚の紙。
手に取ってみると、それは勉強会のお知らせ。学校に一泊して、一日中勉強をしようという企画らしい。もちろん休憩時間もあって……というか休憩時間のほうが若干どころでなく長い。比で言うと「勉強:休憩=1:4」である。
もうこれは勉強会ではないだろう。むしろ親交会というべきだ。
企画者の名前があったので確認すると、そこには『スメラギ・李・ノリエガ』と記してあった。それだけで、この企画がどうしてできたのか分かってしまう。いつもの、唐突な彼女の思いつきだ。
が、そんなことよりもアレハンドロの注意を引いたのは、一番下の申し込みの欄。
参加者の所に『リボンズ・アルマーク』と、記されていた。
「……でたいのか?」
「えぇ。寮生は全員強制参加な上に、教職員も何人かでるらしいです。おもしろくなりそうでしょう?」
くすり、とリボンズは笑った。
それをアレハンドロは、好ましいものを見るような目で見つめる。
中学校にいたときはこんなことを言い出さなかった彼が、こんな風になるとは。よっぽど高校は楽しいらしい。
しかし。
「リボンズ……いい加減『アルマーク』でなく『コーナー』を使ってくれないか…………?」
「嫌です。リボンズ・コーナーなどという、言いにくい名前はゴメンですから」
さらっと、当たり前のようにリボンズは返した。
返されたアレハンドロは少々落ち込んだが、すぐに気を取り直す。このやりとりももう何十回もしているものだから、すでに日常の一部分となっているのだ。そういうわけで、立ち直るのは早い。
まだ諦めないぞ、と決意しながら、アレハンドロはリボンズがさりげなく差し出したペンを取った。
いつか、リボンズが「リボンズ・コーナー」となる日はくるのでしょうか?
……絶対にないと思います。
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