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「……まぁ、今回は許すか」
「だな。ぼかしてくれたみたいだし」
「それに……僕らを匿ってくれているもの」
「差し引いてプラス1、か」
呟いて、エクシアは先ほどの連絡を思っていた。
ふと、頭の中に響いた言葉。それは、自分たちのことをハッキリではないが語ってしまった事に対する謝罪。
一言「ごめん」、とあったその言葉は、何だか…重かった。
話したことにはきっと、何らかの理由があったのだろうと……聞き返すことも出来ない、その場にもいなかった自分たちでも推測は出来た。話してしまったのは、それを語らなければ話せない別のことを言うためだったのだろう、と。その程度の信頼は、既にある。
だからこそ、あのヴァーチェですら『許す』と言っているのだ。
「まぁ、再会したら理由でも問い詰めてみるか」
「……程々にな?」
顔を引きつらせているデュナメスの脳裏には、おそらくは『システム・ナドレ』使用の後に発見され、ヴァーチェによって半泣きになってしまったキュリオスの事が浮かんでいるに違いない。…あの恐怖を再来させてはいけない、そこはエクシアも同意見だった。
だいたい、である。何で勝手に出て行っただけであそこまで言われなければならないのだろう。不平等(?)にも程があるというものだ。エクシアには正直、訴えたらこちらが勝つ気がしていた。どこに訴えるのかはさておいて。
無口なあの大剣なら何と言うだろうかと、ふと、エクシアは思った。
半身と呼ぶも相応しくない、それ以上の繋がりを持つ、相棒……ダブルオーという、自分の大切な存在。
今頃、どこにいるのだろうか。剣の姿のままホコリを被っているのか……あるいは、何かに封じられてそのまま、か。
いずれにせよ、彼女がこちらに来るのは無理だ。
剣が一人で移動できるわけがない……というか、出来たら怖い。
「…いや……アイツなら出来なくも…」
「エクシア、何言ってるの?」
「いや……ダブルオーが勝手に移動は出来ないだろうか、と」
「君はバカか?出来るわけ……いいや、言い切るのは難しいか」
「だよな…何か超越してる感じがするもんな……あの剣」
最初は貶したヴァーチェも断言は避け、デュナメスに至っては無条件で同意し、キュリオスは曖昧に微笑んでいるが否定はしない……つまり、全員とも『有り得る』と考えているわけだった。
こんな一見ばかげている思考すら納得されてしまう対象。
ダブルオーというのは、かなりミステリアスな存在なのだった。
しかもそれに無口がプラスされ、さらにミステリアス度は上がっている。
……というか、あの四人はどこか変だったりするのだ。
キュリオスが大好きすぎて行き過ぎてるアリオスだとか。
先の通りのミステリアス過ぎるダブルオーだとか。
銃器のくせに接近戦の方が好きだと言い出すケルディムだとか。
ヴァーチェの武器のくせに、何故かデュナメスが大好きらしいセラヴィーだとか。
全員優れているのは認める。認めるが……これでは何だか認めにくい。
皆、どこか別の方向へ行っている気がしなくもないのだ。
特にセラヴィーとかアリオスとか。
どうやったら…ここまで個性豊かなメンバーが出来上がるのだろうか。自分たちの産みの親の顔を、一度しっかりと見てみたい。そして、問いただしてみたい。
自分のことは綺麗サッパリ棚に上げて、そう思うエクシアだった。