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「ライルー、朝だぞー」
「あと十分……」
「起きろこの馬鹿ライルッ!」

 人が珍しくというか今日初めて起こしに来てやったのに『あと十分』とは何事だ。五分ならまだ許すが、十分はいただけない。というわけで、制裁を加えることにする。
 つまり、布団をはぎ取って腹にエルボーを喰らわせるという行為を実行した。

 さすがにこれでは眠り続けることは出来なかったのだろう、痛みのあまりだろう腹を抱えてうずくまる彼の目は、どうやらバッチリ覚めているようだった。
 それを満足に思い、布団をベッドの方へ戻して、ライルに向かって軽く手を挙げる。

「おはよ、ライル」
「……誰だ?」

 にこやかな自分の挨拶とは逆に、ライルからは不審と警戒の気配が漂ってくる。
 無理もないか……と軽く頭を掻き、それから腕を組む。
 さて、どう説明するべきか。そのまま話したとして信じてもらえるかどうかは怪しい。が、それ以外に選択もない……となれば、話すしかないだろう。

 いきなり核心に触れるのはアレなのでまずは自己紹介からだ。
 …といっても、名前を名乗ればあるいは察してくれるかも知れないが。

「俺はケルディム。正式名称は別にあるけど、普通に呼ぶならケルディムだな」
「ケルディム……?あの銃器と同じ名前、だと?」
「そうそ。俺、あの銃だから。ちなみに銃はスナイパーライフル」

 分かった?と訊くが、それでも不審の目は消えない。
 まぁ、ここまでは想定内だ。

「信じてないだろ、お前」
「当然だ。いきなりンな事言われて信じる馬鹿がどこにいる」
「ま、そりゃそうだよな」

 グッと伸びをして、ケルディムはニッと笑った。
 そして次の瞬間、ケルディムのいた場所には一つの大きな銃器が落ちていた。

「なっ……」
「分かったろ?つまり俺はこの銃ってこと」

 驚いているライルの目の前で人型に戻り、ニンマリと笑ってみせると…現所有者はハァ、と溜息を吐いてベッドの縁に腰掛け、こちらを見た。その目にあったのは……疑いではなく、困惑。どうして銃が人型になっているのかという、疑問だった。

 それでいいと、ケルディムは満足した。疑いは晴れた。代わりに現れた疑惑は、むしろこちらが訊きたいので何とも言えないが。本当に…どうして人型になれるようになったのだろうか……謎だ。まぁ、勝手が良くなるのはありたがいが。

「言っておくが、原理は俺も分からないからな。今日突然に出来るようになった」
「そうかい…あー、もう信じるしか無いってわけかよ」
「その通り。で、信じるついでに頼み聞いてくれないか?」
「…頼み?」
「ほら、美術館で何かの会があるだろ?あれに俺を連れてって欲しい」

 数日前から知っていた。その会に、セラヴィーが持ち込まれることに。
 気配を辿ってみると、どうやらこの都の中にはダブルオー、アリオスたちもいるようで。さすがにデュナメスたちはいないようだが、その内会えるだろうという、今まで全く抱いたことのない予感を覚えていた。

 今回は、もしかしたら八人全員が揃えるかも知れない。
 ならば自分がやることは一つ。
 出来るところから仲間たちに接触することだ。

「分かった。ま、そのくらいならお安い御用ってやつだな」
「さっすがライル!」

 だから、まずは居場所の分かるセラヴィーから。
 どうせまだ眠っているのだろうし…起こしてやらないと。

 

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