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ヤレルヤが書きたいです、ヤレルヤが。
凄く唐突に見えましょうが…ずっと前から思ってました。
けど、この話には出てこないのですよね……。
どうしよう、橙の次のお題辺りで出そうか…本気で。
11.寄り添って
「また、人が死んだね…」
『あぁ。お前が殺したんだろ』
「…そう、だね…」
『……ったく』
トレミーにある自室で、ベッドの上で膝を抱えて座り込む片割れを見ながら、直ぐ傍にいたハレルヤは溜息を吐いた。
ミッションが終われば程度の差こそあれ、いつもこうだ。一番酷かったのは機関を破壊してきた日だっただろうか……同類を手に掛けたという事実が、想像以上にアレルヤを苦しめていると想像するに難くなかった。
だが、理解できたからといって納得できるとは限らない。
覚悟を決めてこの組織に参加したはずだ。世界に敵対する覚悟、恨まれる覚悟、理解されない覚悟、人間を殺す覚悟、自分が死ぬ覚悟、そして……自分を殺す覚悟を。
実際、片割れはそれを為している。だからこそ、今までミッションをクリアしてきているのだ。もしもそれらの覚悟がなければ、マイスターであり直接戦闘に関わる彼が今の今まで生きていることも無かっただろう。
問題は、覚悟を決めているかではない。
覚悟を、どれほど強く抱いているかだ。
『お前は甘いな、アレルヤ』
「ハレルヤ……」
『殺すって決めたんだろ?そして殺したんだろ?なら、それで良いんじゃねぇの?』
「……そうはいかないよ」
悲しげに言って、アレルヤは少しだけ顔を上げる。
そして、そこに居るが存在はないハレルヤと目を合わせて、悲しげに微笑んだ。
「僕は……きっと、ずっと後悔を続けるよ。どうしてあの時引き金を引いたのか、どうしてあの時刃を向けたのか、どうしてあの時……って」
『意味ねぇだろ、それ。ンな事やっても何も変わらねぇ』
「知ってる。けれど…それをしないと、僕が僕でなくなる気が…するから」
その言葉を受け、ハレルヤは肩眉を上げた。
おかしい。いつもならば、こんな言葉までは言わないはず。
今回のミッション、何かいつもとは違う箇所があっただろうか。そう思いながら記憶の糸を辿る。終わりの方から、始まりまで、自分にしては丁寧に解き明かしていき……一つ、それらしい物を見つけた。
『一般人に犠牲者…ねぇ』
「……彼らは、本当は死ぬはずじゃ無かった……」
再び下を向いた片割れを見て、もう一度ため息。
……ミッション自体は滞りなく進んでいた。毎度お馴染みの甘さで、出来る限りの犠牲者を出さない戦いは今回も相変わらず。しかし、それでも深刻な遅れがないところ、戦闘に慣れているとは思うがそれはそれ。
ともかく、ミッションは問題なく終わろうとしていたのだ。
だが、墜落させたMSの落ちる先に、見物をしていたらしい一般人の群れがおり……という話。ちなみにミッションは完遂された。
どうやら、片割れはこれを気に病んでいるようだが。
『正直、これってアイツらの自業自得じゃね?通りすがった様子でもねぇし、のこのこ死地に見物に来たとしか思えねぇ。同情の余地がどこにあるよ』
「けど……やっぱり…彼らは、死ぬとは思っていなかったのに…」
『死ぬ覚悟がねぇなら、あんな所に来なけりゃいいんだよ』
そんな馬鹿な相手の事まで気にしてやる必要が、一体どこにあるという?
『だから、今回のは完全にお前のせいじゃねぇ』
「……ハレルヤ、もしかして慰めてくれてるの?」
『バーカ、違ぇよ』
単に、あんまりお前がしおらしいと……俺も何だか本調子が出ない。
ただそれだけだと言うと、アレルヤはクスリと笑った。楽しそうに、クスリ、と。
「素直じゃないね、ハレルヤ」
『素直どうこうじゃなくて、これが本心だっての』
軽く肩をすくめて、ハレルヤはベッドに腰掛けた。
それからアレルヤの隣に行って、体を九十度…片割れの方に背中が向くように動かして、少しばかり体重を預けるような体勢を取る。といっても、体重なんて無いけれど。
「…暖かいね」
『俺には実体がねぇのに、どうして暖かく感じんだ?』
「気分っていうやつ…かな?」
『何だソレ?』
クスクスと笑うアレルヤにつられて、ハレルヤも笑みを浮かべた。
けど、見物に来る一般人って…いると思うんだ。
火事だって、事故だって、必ずといっていいほど野次馬が出来るのですから。
これだけ例外、っていうのは無いでしょう。