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季節モノは困ります。だって、本当に季節は何時?ですから。四季じゃなくて五季ですよ。
今回はえうーごと、そこにやって来た可哀想な人の話。
彼は今も頑張って世界征服をもくろんでいるんでしょうか?
17:夏
それは突然の出来事だった。
唐突に自動のハズのドアが手動でバタンと開かれ……現れたのは、何人もの人間の集団。
そのうちの一人に、マークⅡは軽く手を振った。
「おー、サイコじゃねーか。そんな大所帯で何しに来たんだ?」
「えっとね、マークⅡ…その」
サイコが言いにくそうにしている間に、先頭にいた男性がビシッと人差し指でこちらを指して、宣言するように大声で言う。
「丁度良い機会が出来ましたので、我々てぃたーんずがえうーごを制圧します!」
「丁度良いのか!?てか今する理由は!?」
「いえ……」
思わずツッコミを入れると、少し男性は黄昏れた風に。
「……とりあえず、何かキッカケがないとこういう事が出来なくなったので…」
「…あぁ、確かに」
納得である。
最近は本当にほのぼので、当初の頃のちょっとした対立なんて物さえ無くなってきたと、そう言ってしまっても支障はない。ガンダムとシャアの仲の良さ悪さは相変わらずだとは思うのだが、まぁ、それはそれ。
そう言うワケなので、これを好機と見て行動を起こす彼を、マークⅡは責められなくなった。何となく気持ちは分かる。
ふと見れば、二人の兄も巻き込まれているようで、しかも何か楽しそうだった。
…それは見なかったことにして……にしても、どうして声も聞かずに誰が誰だか分かるのだろう。雰囲気か、やっぱり雰囲気なのか。あとは空気的な物もあるかもしれない。
と、それは置いておいて。
男は辺りを不審そうに見渡しながら呟いた。
「おや?他の面々はどこにいるんですか?」
「奥にいるぜ。女の子はゼータの髪弄って遊んでる。ダブルゼータとプラスはその見学」
「成る程……ふっふっふっ…これは本当に好機です!つまり、貴方を倒せば私を阻む物は一応であろうと無くなると言うことですからね!」
「しまった墓穴!?」
たとえ今は出番が無くて悪いことが出来なかろうと、やっぱり相手は悪の大将的な存在なのだ。……やるならばとことんやるだろう。
サイコはこっちに来てくれるだろうが……兄は絶対に来ないし…つまり二対多数の戦いになると言うわけで、それはさすがにキツイ物があるというか。
どうしようかと悩みながらも相手から視線を外さずにいると、その相手が突然後ろに仰け反った。
「…!?」
「……ジ・O……お前…どの顔をしてここに来たんだ……?」
ふらり、と。
バッと声に振り向いてみれば、そこにはふらりと揺れている長い白髪の、機械の耳を持つ少年の姿があった。手には黒い、あれは……ヘアピン?
まさか、と視線を戻してみれば、そこには体の状態を戻した男…ジ・Oがいて。
額には黒いヘアピンが一本、突き刺さっていた。
…まさか、は本当だった、
「いきなり何をするんです!」
「黙れ。そして帰れ、あるいは滅せ」
ブチ切れモードらしいゼータを見て、マークⅡはゆっくりと後ろに下がった。
ジ・Oに付いてきた彼らも危険を察知したらしく、両名から少しずつ距離を取っていく。
どうして今、彼がこんなに簡単にキレているか……それは相手がジ・Oだからだろう。だが、それだけではなく、今の彼の頭の中にはドライアイスはおろか、保冷剤の存在すら無い。冷却シートまでもが、無いのだ。キレるのを防ぐための道具が無い以上は、現状もやむなしと言えるのかも知れない。
そして推測している間に。
「成る程、貴方はゼータですか……随分と可愛らしくなったもので…」
挑発行為だろう、ふふんと笑いながら話し出したジ・Oの言葉は、しかし途中で中断することになった……頬に出来た、新しい裂傷のせいで。
視線を移せば、投げた後のフォームで立っているゼータの姿。後ろにあるのは……黒い炎だろうか?…手出しは無用だ、完全に。ていうかやったら死ぬ。
戦慄しているこちらを気にすることなく、ゼータは一歩、踏み出した。
その姿は、さながら鬼神のようで…これ以上は言うまい。
「黙れと言ったのが聞こえなかったのか?」
「話している最中にヘアピンを投げるのは…っ」
「これは嫌いか?ならば…これだな」
そう言う問題ではないと思うのだが、ゼータはヘアピンを服にしまい、新たに筒状の物を取り出した。それは……見慣れた物だった。
堪らずにだろう、ジ・Oが叫ぶ。
「ビームサーベル!?一体どこから出したんです!?」
「知らないしどうでも良い。今日こそお前を殺す」
「くっ……ここは一時退散す…」
「……逃がすと思うのか?」
「たっ…助け……ギャアァァァァァァァアッ!」
……。
……うん。
「サイコ…」
「何、マークⅡ…?」
「オレ…何も見てないから」
「奇遇だね…私もだよ…」
「…よかったらかき氷食うか?さっき作ってたんだけどな」
「今って夏なのかなぁ……ううん、もらう…あ」
「どうした?」
「これをゼータに掛けてみたら、頭が冷えて…」
「それだッ!」
数分後。
何とかゼータを落ち着かせたマークⅡとサイコは、奥の部屋で現状を察知して大人しくしていたというメタスたちに彼を引き渡し、ジ・Oを運び出した。
……これ以上の苦労はゴメンである。
夏があまり関係ない…最後の最後にちょっと、っていう…ね。
けど、ちょっとは関係してるし…まぁ、いいか。