[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
あけましておめでとうございます!
でも、この話は新年及び正月とは全く関係ない仕様です…ごめんなさい。
11.雨あがり
ミッションのために地上に降りるのは、マイスターとして仕方ないと諦めよう。宇宙が好きだからと言って地上に降りないなど、ガンダムマイスターに相応しいか否か……それ以前の問題である。
宇宙での仕事が忙しく、欲しい物を調達できないメンバーの替わりもまた、地上に降りることが出来る身としては……やらなければならない義務なのだろう。そうとでも思わなければこんなパシリのようなこと、とうの昔に止めている。まぁ、それなりに頑張っているメンバーにも、ある程度は見返りがあって然るべきだとは思う。
だが、だからといって。
「何故こんな日に出なければならないんだ……」
「あははは…しょうがないよ…だって今日取りに行かないといけないんだから。予約の品、なんでしょう?」
「分かっている。だからこそ、今、こうやって出ている」
不満は有り余るほど有るが。
そう続けると、同じく使いを頼まれているアレルヤはクスクスと笑った。
「それでもちゃんと行くところ……やっぱり、ティエリアって真面目だね」
「マイスターとして当然だ」
「…いや、マイスター関係有るの…?」
「ある。品格の辺りで大いに関係しているな」
「あぁ、品格なんて評価ポイントがあったんだ…」
「他にも技能、人格、性格…」
「いや、もういいよ!」
慌てた様子で止めるアレルヤを不思議に思いながら、止められたのだから……と、ティエリアは口を閉ざした。しかし、どうして止められたのだろう…?
黙ってしまうと地を打つ水の音が辺りに響く。
時折、溜まっている雨水が踏まれる音も、そこへと混じる。
……そう、今、地上では雨が降っていた。
どうしてよりによって、絶対に外に出なければならない日に降るのだろうかと、ティエリアは本気で天気を恨んだ。地上嫌いに少し、嫌い度が上乗せされたと言い換えるのは嘘ではなく、むしろ真実である。
まぁ、良いことも一つ、ありはするのだが。
「にしても……どうして傘、一つしかなかったんだろうね…」
「支障はない。別に構わないだろう」
「支障がないって…狭くない?」
「気にはならないな」
むしろありがたいとさえ思えるくらいで。
こうなると……前回の地上待機の際、刹那とケンカをしたときに三本あった傘の内の二本を完破壊してしまったのは……あながちミスでもなかったということか。あと、新しく買いに行くのを先延ばしにしていたのも、また。
不幸中の幸い、とは少し違う気もするが……文の意味的には同じ。こういうことが怒る物なのかと、少しばかりしみじみと感じ入る。いい体験になった。
……狭いのは一応、客観的に見ると事実ではある。
何せ、男二人が一つの傘の中…なのだし。
気にならないのも本当であるのだが。
「雨…止まないかなぁ……」
「君なら雨音が好きだと言い出しそうなものだが…嫌いなのか?」
「嫌いじゃないよ。どっちかといえば好きな方…かも。ただね……ジメジメして鬱陶しいからって、ハレルヤが起きてくれないんだ。それって、ちょっと退屈で」
ふぁあ、と欠伸をしてアレルヤは言う。
「まぁ…こういうのも良いかもとは思うけど」
「退屈、か……この俺が傍にいるというのにか?」
「あ…不快にさせたかい?」
ゴメンねとシュンとうなだれる彼に、問題ないと首を振る。
彼と彼の半身の仲には……まだまだ及ばない、ただそれだけのこと。いずれは必ず、追い越して見せようではないか。
ふっと笑っていると、雨音が無くなっていることに気づく。
「雨が止んだのか…」
「本当だね……あ…ティエリア!あれ見て!」
指を指された方を見てみれば、そこには雲がかかっていなかった。
そして、見えたのは七色の虹。
「雨が止んばかりだからか……」
「だね。綺麗だね…」
「……まぁ、」
アレルヤの手から傘を奪い取り、閉じる。
「…綺麗だと、認めてやらないこともないな」
平和な一時ですね…。
ただ、書いててふと、刹那とティエリアのケンカの場面が本気で気になったりしてました。どういうケンカをしたら傘が折れるんだろうか。