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というわけで第六話。どこまで行くんでしょうか、この話。
部屋に入った瞬間の、あの衝撃は一生忘れない。ブリングはそう思った。
やることを全て済ませて帰ってみて、最初に見えたのはダラダラしているリジェネでも、それを注意するリヴァイヴでも、面白がってチャチャ入れをするヒリングでも、呆れながらもどうにかしようかと考えているデヴァインでも、それらを見て我関せずを通すリボンズでも、微笑みながら仲が良いねと呟くアレルヤでもなく……自分以外のイノベイターが全員、アレルヤの前で正座で縮こまって座っている姿、だったのだから。
あまりの非現実さに呆然としていると、直ぐにこちらに気付いたらしいアレルヤに誘導され……いつの間にか、ブリングまで正座組に入っていた。
本当に、これは一体何だろう…。
『デヴァイン…説明をくれないか?』
『……いや、俺にも分からない』
『私もなのよねー……全く、アレルヤったら何考えてるのかしら』
『僕ら、何か悪いことやったっけ?』
『さぁね。アレルヤに対しては普通に接してたはずだけど…』
『……』
『リヴァイヴ?どうかした?』
『いえ……ちょっと腹痛…』
「イノベイターのみんな、脳内会話は終わった?」
ニコリと微笑んで、アレルヤが言う……が、背中から立ち上る怖い気配のせいで全く微笑みの役割を果たしていない。むしろ、もっと別の何か…の効果を出しているように思える。とても怖い。
というか。
「イノベイター!?アレルヤ、僕らのこと知っちゃったの!?」
「ちょっと嘘!あれだけ頑張って隠してたのに!?」
「そんな馬鹿な……」
「俺たちのいない間に何があったんだ…?」
「…リヴァイヴ」
「…っ」
リボンズの言葉に、リヴァイヴの肩が揺れた。
「ねぇ、ずっとアレルヤと一緒にいた君は何か知ってる?」
「あっ…あのその……アレルヤが…カタギリ司令からの通信を受け取って…しまって…」
どんどん縮んでいきそうなリヴァイヴを少し憐れに思いながら、ブリングは成る程と現状を受け入れた。アレルヤはCB側なのだし、この状況はそれを踏まえれば……・やっぱり訂正。受け入れられない。どこからこの状況に繋がるのかが本気で分からなかった。
だが、それを訊けるような状況というか空気ではない。
しかし、それを乗り越えたのはイノベイターのリーダー…リボンズだった。
「ということはアレルヤ、君はだから僕らに説教しようとしてるの?」
「そうだね。あ、リジェネ、足崩したら夕ご飯抜きだから」
「……ッ!」
いい加減足が痺れてきたらしいリジェネはその言葉に顔を引きつらせた。
そして、当然のようにそちらから即行で意識を外したリボンズとアレルヤは言葉を続ける。リボンズは現状突破のため。アレルヤはどうやら説教のため。
……が、リボンズは正座のままなので何とも言えない。
「人を殺したから悪いとか、そういうことは言わないでくれるかい?」
「言うわけ無いだろ?そんなの僕らだって一緒なんだから」
「じゃあ、何で現状が成り立っているのさ」
「簡単なことだよ」
アレルヤはそうして、フッと笑った。
…微笑みとは、どこか違う感じがした。
「いい?僕はCBで君たちはイノベイター。人殺しはどちらも同じ。しでかしてきたことも、まぁ、規模は違うし自覚の程度も違うだろうけど、一緒と言ってもいいかもしれない。けれど…けれどね、そこを僕が責められなくてもね。
君たち、僕に『本当』を教えなかったでしょう?」
「……それは」
「言ったら出て行くとでも思った?出て行く手段も無いのに?」
「そうだけど…」
「僕らは一緒に暮らしてたの。どうしようもなく、というか楽しく。僕は君たちと一緒に生活できて楽しかったんだよ?でもね、そういう秘密を作られていると何とも言えないの。それを言ったくらいで僕が君たちを直ぐに嫌いになるとか思われてるんなら……信頼してもらえてないと考えても良いの?」
「そんなことないってば!」
ヒリングの叫びに、今度こそ、アレルヤはちゃんと笑った。
「じゃあ、次からは隠し事無し、ね?」
実はこの話、イノベイターの正座が書きたかったた故の話…。