お題：赤 02．水たまり

なんか、トリニティが書きたかったという……。

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02．水たまり



「あー、今、すっげぇ暇……」
　雨上がりの午後、ミハエルはとある店の入り口付近に立っていた。
　その店は女性向け小物を売っている店で、ならばどうしてミハエルがここにいるのかというと、それはとても簡単な話で、ネーナが来たいと言うからついてきたのだ。
　本当はヨハンも一緒に三人で、のんびりとしようと話していたのだけども……残念なことに、長兄は新しく入った情報を確認しないといけなくなったのだ。そういうことがあってもネーナとミハエルを行かしてくれる辺り、彼は本当によい兄だと言える。ミハエルも誇りに思う、とてもよい兄だ。
　ミハエルも店の中に入ったら良かったのかもしれない。中には女性しかいなくて恥ずかしい思いをすることに、耐えることができるのなら。あいにく彼には無理だったから（実は一回入ってみた。そして見事にキレイに挫折した）ここにいるわけだが。
　にしても、本当にやることがない。暇すぎる。
　暇すぎるので、足下にあった水たまりで遊ぶことにする。子供っぽいとは思うけど、暇な時間にはもう、飽き飽きしているのだから。

　バシャバシャ

　足で波紋を起こしている水たまりを眺める。
　結構つまらない（当然だ）……が、止めるとまた暇になるので続ける。

　バシャバシャ

　…それにしても、ネーナはいつになったら帰ってくるんだ？
　多分、最愛の妹が店に入ってから最低でも三十分はたった。
　女子の買い物は長いと言うけども、これは……

　バシャ……

　ミハエルは足を止めた。
　波だらけの水たまりに、知った顔が映ったからである。
「よ。お前、どうしてここにいんだよ？」
「偶然通りかかったんだけど……邪魔だった？」
「まさか。俺がそんなこと言うと思うわけ？」
　くるりと後ろを向くと、そこには穏やかな笑みを浮かべている男がいた。
「久しぶり、ミハエル」
「久しぶり？そんなに会ってないワケじゃないと思うけど？」
「気分だよ、気分。久しぶりって、そんな気がしたんだ」
「どんな気分だよ、それ」
　ミハエルは笑った。アレルヤは相変わらず、らしい。
　こんな彼といつも（というわけではないだろうけど）一緒にいられる他のマイスターを羨み、それからふと、ミハエルは疑問を持った。
　……どうしてハレルヤが出てこねぇの？
　どうやらアレルヤの半身、ハレルヤはミハエルのことが嫌いらしい。それはミハエルも同じなのでお互い様なのだけど。……この前ヨハンに「それは同族嫌悪というやつじゃないか？」と言われ、必死に否定したのだった、そういえば。
　とまぁ、そういうわけだから、アレルヤとミハエルが近づけば、彼が絶対出てくると思っていた。というか、実際に今まではそうだった。
　それを訊いてみると苦笑して、アレルヤは答えた。
「ハレルヤは今、眠ってるんだ」
「…あぁ、なるほどな」
　分かってしまえばなんてことない種だった。確かに、そうでもなければ、彼がここまで近づくことを許すわけがない。
「どうしてハレルヤって、ミハエルのこと嫌いなのかな……？」
「それは、俺が危ないヤツだって知ってるからじゃねぇの？」
「……え？」
　キョトンとする、アレルヤ。
　彼は気づいていないのだろうか。周りにいるのはオオカミばかりだと。
　…分かってないなら、教えてやるのが親切ってもんだよな。
　ミハエルはにまりと笑った。
「それって……どういう？」
「どういうことか、教えてやろうか？」
　未だに自身に降りかかろうとしていることに、一向に気づきもせずに戸惑うアレルヤを愛おしく思いながら、ミハエルは顔をゆっくりと近づける。
　と、その時。
「俺のアレルヤに何しようとしてんだよッ！このアホがッ！」
　アレルヤの……いや、ハレルヤの拳が飛んできた。
　間一髪避けるものの、直撃していたら鼻血でも出ていたかもしれない。そこらへんを彼は狙ってきた。
「……チッ。避けやがったか」
「テメェ……ッ」
「ん？やんのか？」
　挑発的に笑うハレルヤ。
　ミハエルは問いに答えず、黙って蹴りを繰り出した。
　それを難なく受け止めたハレルヤは、獰猛に笑った。
「上等だッ！そのケンカ勝ってやる！」





　そして、このケンカはネーナが買い物を終えて店から出てくるまで続いたという。

　ちなみに、止めようとした人はいたらしいが、巻き込まれて近くで伸びることとなった。

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トリニティ書きたいっていったけど、ちゃんと出てるのミハさんだけだよね。
……ごめんなさい、とくにヨハンお兄ちゃんっ！