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イノベイターの殆ど(かは未だ未定)のお父さんがリボンズだと言うことで。
リジェネとリボンズの、結構シリアスな話です。
04.愛してるふり
敬愛すべき父が、こんな同じような年代に見える相手なんて笑えてくる。
実際の年齢なんて知らない。自分の年齢だってどうでも良い。自分たちにとって、その話題は余りにも無意味だ。無限であるわけではないが、人間と比べれば間違いなく有限の幅が広い自分たちの生。年老いることを抑制した自分たちの体。人間などとは違う、全ておいて圧倒的上位に位置する新たな種族。
それが自分たち。
そんな自分はとある一人の別の上位種に作り出された存在。決してオリジナルではない、その点では確実に人間よりも劣っているだろう存在。だって人間は全てがオリジナルだ。けれど、自分はコピーなのだ。
コピー。模倣品。本物ではない、影。
どうしてこんな自分を生み出したのだろう。どうしてこんな自分は生み出されたのだろう。生きてることがつまらないことはないが、生きていることに疑問を覚えることはある。生きるのは楽しいが、生きるのは分からない。
こんな作り物の命が、どうして世界に存在しているのかがたまに、本当にどうしても理解できないのだ。
どこまでも歪だと何度も思った。
全員がオリジナルである人間よりも、コピーである自分の方が上位に立っていることも。
だから、やはり人間たちの上に立つのは自分を作り出した存在であるべきだろう。自分たちではなくて、彼の言うとおり彼が上に立つべきなのだ。そうでないとどうしても、何もかもに納得できる理由が付かない。
そこは良いのだ。もう。別に上に立てないからと言って、存在しているという事実までもが否定されるわけでもない。上位種ではないと否定されるわけでもない。不満なんて覚え得るワケもない。
ただ、それでもふと思うことがあるのだ。
果たして敬愛すべき父は我々をどう思っているのか?
その一点を。
つまらない問いかけだと、我ながらに思う。考えれば考えるほど分からなくなり、ならばと訊いてもおそらくは本当の答えを返してもらえない質問。答えのない問いを考え続けるほど無意味な事はないというのに、それでも答えを求めるための過程、つまり思考を続けてしまう自分は馬鹿なのだろう。
馬鹿で結構。だから何だ。
知りたいと思って何が悪いのか。子が親に全ての問いの答えを求めるのと同じように、創造者に創造物が創造理由を教えろと求めて何がおかしい。知恵を持ってしまった存在が、知らぬ分からぬと目を耳を全てを塞いで答えを得まいとするわけもないのだ。
「ねぇ。君は僕のことをどう思ってる?僕を創りだした君は、僕を、ある意味で君の子である僕を、一体どう思っているのさ?」
ならば、と一歩踏み出したのは果たして許される行為なのか。それさえもハッキリしないままに答えを待つ。答えは既に予測できていたが、それでも、彼の口から聞くのと聞かないのとでは持つ意味合いが違う。
「愛してるよ。親が子を愛すのは当然だろう?」
予想通り、彼は微笑みさえ浮かべて言った。
予想通りすぎて、思わず顔が無様に歪んだ。
「……嘘ばかり」
その微笑みは仮面。本音を隠してしまう仮面だ。まさかそれを悟られないと彼が思うわけもない。何故なら彼は親。子のことを誰よりもよく知っている存在。
貴方の言葉が嘘であることは容易に想像が付く。
はっきりと貴方が貴方の口から、本当のことを言ってくれたらどれほど楽だろうと、どれほど自分が思って過ごしたか知りながらの嘘なのだと言うことは、容易に想像が付くのだ。侮らないで欲しい。親が子を見るほどに、子も親を見ている。
愛してるなんて嘘。
どうせ、換えの効く便利な手足としか思ってないくせに。
リジェネとリボンズの間に、こういうのって多少なりともあると思います。