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小さい二人、ホント、可愛いだろうな~
というお話です。
チビスターズ第一話 ④
しばらくしてスメラギが食堂に入ってくる頃にはもう、クリスティナやフェルトといった女性クルーが来ていて、刹那とアレルヤはかなりの時間おもちゃにされていた。
アレルヤはそれなりに楽しそう(だけどやっぱり逃げたそう)だからいいのだが、無表情で若干不機嫌そうな刹那は不憫というほかないだろう。
「……えっと、これはなにかしら?」
二人に視線を向けながらこちらに歩いてくる彼女に、苦笑してお手上げのポーズをしてみせる。
「朝起きたらああなっていたらしい」
「何か変なことでもしたの?」
「そういう覚えはないそうだ。なぁ?」
ハレルヤに同意を求めるものの、ちらりと視線を向けられただけで結局スルー。彼は再びアレルヤたちを眺め始めた。
そんなにそちらが気になるか。
呆れた気分にもなるが、彼だからという理由でそうか、と納得できもする。
「ミッションプランを変えないといけないわね……抜けるのはエクシアだけ?」
「ハレルヤが首を縦に振ったら、の話だけどな……」
「そこは問題ないでしょう」
黙っていたティエリアが口を開いた。
「ハレルヤが嫌がったら、アレルヤに説得してもらえばいい。さすがに彼でも……いや、彼だからこそアレルヤの頼みは断れない」
「ティエリア、お前さっきからずっとそういうこと考えてたのか?」
彼らしい話だ。ここまでミッションのことを考えれるということはもう、賞賛するべきだろう。
拍手をしようかどうしようかと考えている間に、女性達から逃げてきたアレルヤが走って来た。刹那も一緒だ。
「ロックオン、何とかしてください!」
そう言って後ろに回り込む。
微笑ましく思いながらそれを見て、パンパンと手を叩いた。
「さ、ちっさな二人のお披露目はこれくらいでな。これから俺たちは大事な話があるからしばらく席を外してくれたら嬉しいんだが?」
「そういうこと。今後のこともいろいろ話したいしね」
スメラギもこう言うので、彼女らは渋々、といった様にだが食堂から出て行く。
残ったのはマイスターとスメラギのみ。
「ありがとうございます、ロックオン、スメラギさ……っ!?」
さっきまで自分で遊んでいたクルーが全員いなくなったのを見届け、それからペコリと頭を下げたアレルヤの言葉が途切れた。
何故かというと、それはスメラギがアレルヤと刹那をギュウッと抱きしめたからだ。
「可愛い~ッ!どうしてこんなになっちゃったのかしら!?」
「ス………スメラギさん!?」
「……離してもらいたい」
慌てるアレルヤと無愛想な刹那が見事に対照的だった。
……というか、そう冷静に考えている場合ではなくて。
「ミススメラギ、何やって!?」
「アレルヤから離れろ、このアル中!」
「刹那・F・セイエイだけは進呈しよう」
三人がかりでなんとかアレルヤをスメラギから奪い返そうとする。
刹那は?とか訊かれそうだが、そこはしょうがないということで。物事には優先順位というものがあるのだから。それに刹那本人もまずアレルヤから、と小さな努力をしているようだったので、問題はないだろう。
三人(プラス一人)分の猛攻にあってかどうかはしらないが、スメラギは笑って二人とも解放した。
どうやらさっきまで彼女が冷静だったのは、他のクルーに混じってしまったら収集がつかないとか、そういう考えがあったかららしい。つまり、我慢していたのだ。
だから今、ほとんど誰もいなくなったからこそ、こうして行動を起こしたのだろう。
「でも、本当に可愛いわね」
「可愛い可愛いって……やめてくださいよ」
「顔を赤くして言われてもねぇ」
つん、と鼻先をつつかれてさらに赤くなるアレルヤ。
まぁ、恥ずかしいだろう。外見はともかく、中身は二十歳の男なわけなのだし。
ただ、そういう彼なのにどうしてこう、小さな仕草やら言動やらが子供状態でも違和感がないのだろうか。刹那はもとから子供だからともかくとして。
「スメラギさんーっ」
「いい加減アレルヤ返せっ!」
まだまだ遊ばれそうなアレルヤと、アレルヤを取り戻そうとするハレルヤと、こっそりとアレルヤの腕に掴まっている刹那と、それを呆れた表情で眺めるティエリア。
彼らを見ながら、本当に平和だなぁ、とロックオンは思うのだった。
「でも服がちょっとねぇ……今度買いに行きましょうか」
「いいんですか?」
「もちろん。ただし、服は私が選んだものでね。刹那もよ」
「…………………え?」
「とっても可愛らしいのを選んであげるわ!」
「断固拒否させてもらう」
さぁ、どうなるんでしょうね……?