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これは小さな夢の話。
とある所に、小さな少年が居た。
紫の髪に、赤い瞳が印象的な小さな子供。
その少年はある時、その特異性を認められて大人たちに連れ去られた。
連れ去られた先は、よく分からない研究所。人々が住む中に建てられたそれはとても目立ち、同時に静かに紛れていた。恐らく、指摘されなければ誰も注意してみようとはしないだろう。そう言った類の建物が、研究所だった。
そこには、少年以外にもたくさんの特異性を持つ子供が集められていた。
大人はいない。大人になる前に死んでしまうからだろう。
少年は、そのたくさんの子供たちの中の二人に出会った。
オッドアイの少年たち。片方は銀の目を、片方は金の目を出して、もう片方の目は前髪で隠していた少年たち。
彼らとは何となく馬があって、以来、三人はよく一緒に行動をするようになった。就寝場所が同じ部屋だったことも、それに拍車をかけていた。
ともかく、三人はいつも一緒だった。
そして、一緒過ぎた。
ある日、少年はいつものように起きた。
そしていつものように二人と一緒にいた。
何も変わらない一日。
そのハズだったのに。
まだ若い研究員がいた。当然、人間だった。
その人は人間以外を酷く毛嫌いしており、従って、人外の力を持つ自分たちをも憎しみを持って見ていた。少なくとも少年は『人間』であると、既に観測で分かっていたというのにそれでも。二人の中にも僅かながら人間の血があると知っていても。
その人間は、何をどう間違えたのか、憎悪のはけ口を金眼を見せている少年に定めた。
付け加えると、集められた子供たちは自由に力を使えないような『処置』を施されていた。
となれば結果など歴然で。
少年は、少年たちは、いつの間にか三人全員に降りかかる何人もの手による暴力に翻弄され。
結果。
赤い目の少年は重傷を負った。
そして、それを移した銀眼が大きく見開かれ、金眼は細められ。
そして、そして、そして。
そして。
愚かな人間たちは研究所ごと。
はじめから無かったことになった。
比喩などではなく完全に。
『それ』があったことは、人々の記憶から完全に抹消されたのだった。