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ハレルヤ……帰ってきて……お願いだから!
02.ソーダ水
アレルヤは戸惑っていた。
目覚めてみると先ほどいたはずの自室ではなく、皆が集う食堂にいたのだから……当然のことといえるだろう。
何が起こったのか分からないまま意識を半身に向ける。
『……ねぇ、ハレルヤ。何をしてるの?』
「アレルヤか?」
楽しそうに笑っているハレルヤは、透明な液体が半分ほど入ったペットボトルを持っていた。
今はどうやら、それのフタを閉めているようだ。
が、アレルヤが気になったのはそちらではなくて。
『ねぇ、そのカップ、誰の?』
彼の目の前にある、一つのマグカップ。
中にはコーヒーが入っている。色からして、ミルクを入れたわけではなさそうだが……若干、普通よりも色が薄い気がする。白を混ぜたというか、むしろ水を混ぜてしまった絵の具のような……。
そこまで思って嫌な予感がした。
まさか、何かやったんじゃ……?
その疑念が確信に変わるのに、瞬きするほどの時間も必要なかった。
『ハレルヤ、いったい何を?』
「何の話だ?」
『何の話、じゃなくて……絶対、分かってるよね』
アレルヤはため息を吐いた。こうなったら、しばらく置いておかないと教えてくれない。教えてくれたときにはもう、取り返しのつかないことになっていることも度々だけれど……もうそこは、あきらめの境地にいるので。
もちろんハレルヤはそんなアレルヤを気にせず、ペットボトルを持って食堂を後にした。
しばらく、お互いに黙って移動する。
『ハレルヤ……いい加減、教えてくれないかな?』
アレルヤが口を開いたのは、自室についてからだった。
ベッドに腰掛けたハレルヤは、黙ってペットボトルのフタを取り、それを一口。
シュワ、という感覚が口の中ではじける。
『……炭酸?』
「そ。ソーダ水だよ」
何でもないように答えられ、しかしアレルヤは首をかしげた。
『……何でそんなものがあるのかな?僕は部屋に置いていた記憶が無いんだけど』
「あぁ、ガキの部屋からかっぱらってきた」
『え!?』
ちなみに、ハレルヤの言うガキ、というのは刹那のことである。
と、それはおいておいて。
アレルヤは叫んだ。
『勝手に持って来ちゃダメじゃないか!』
「まぁ待てよ、アレルヤ。話には続きがあるんだぜ?食堂で何をしてたか、きちんと知りたいだろ?」
言われて、黙る。そう、それが一番気になるのだ。というか、それが一番問題だったのではと思っている。……把握しておかないと後々が危ない気がする。
把握しても危ない気がするのは……気のせいではないのだろうけど。
『何をしてたのさ』
「あのな、あのカップ……誰のだと思う?」
『コーヒー入ってたし……ティエリアかロックオンだよね』
「そ。眼鏡の方だよ」
『で、一体何をしたの?』
「これをな」
ハレルヤは、からになったペットボトルを持ち上げて見せた。
「少なくなってたコーヒーの中に入れてやった」
…………………………うん、そんなことだろうと思ってたんだ。君があまりに楽しそうだったからね、絶対に何か悪いことだと思ってたよ。それにソーダ水も減ってたし。あれ、本当はいっぱい入ってたんだろ?てことは、どれだけ入れたのハレルヤ……でもね、でもね………………
なんでティエリア!?
『ハレルヤ、なんてことを……っ。よりによって、どうしてティエリアに!?』
「気に入らないから」
『そんな単純な理由で許せると思う!?ティエリアだよ、ティエリア!仕返しは十倍で返してやるって、この前言われたじゃないか!』
「忘れた」
『嘘だよね、それ絶対嘘だよね!』
半年間、あいてくれてありがとうとか一瞬思ったよ。
だって、その間は捏造し放題。幸せにし放題だもの……
この話が幸せなのかは分からないけどね…