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ドライが可哀想なことになっていて…一期から引き継がれてた子なのにね…。
しかもHAROまでいなくなって…
いなくなるヒトが多いですね。
世界が壊れていく。
「HAROっ!大丈夫なの、ねぇ、HAROってば!」
「…っさいな……少しは黙れ」
「黙れって…でも…HAROが!」
ネーナは死ぬ。
HAROも壊れる。
それはもう確定事項なのだとドライは感じ取っていた。覆ることのない確定事項として、それが存在していることに気付いてしまった。
相手は強すぎた。機体の性能もそうだし、感情も同様に。
強すぎて、こちらでは太刀打ちできないくらい。
「ね…ねぇ、HARO……HAROは…ねぇ、消えちゃうの…?」
だから自分は壊される。今も足を吹き飛ばされたり、手を吹き飛ばされたり、体中が痛い。人間なら今頃出血多量で死んでいるところだろう。あるいはショック死。けれど、それが許されないこの身が恨めしい。自分たち精神体は、死ぬことは決してないのだ。
しかし、それもドライたちだけのこと。
HAROは、違う。
HAROは本体の中にあるデータが壊れてしまえば消えてしまう。自分たちと違って彼には『死』が待っているのだ。
死。
人々を分かつ永遠の裂け目。
「…さあな。分かるかよ、そんなこと」
「分かってるんでしょ…その言い方は分かってる言い方だもん……私は分かるよ」
「分かる?…勘違いじゃ、ねぇの?」
「そんなこと無いよ……言い切れる」
だってスローネ三機の中で、誰よりも一緒にいたのは自分だから。
新しく腕が吹き飛ばされた感覚に苦痛を覚えながら、それでもドライはHAROに話しかける。泣きたい気分だったけれど泣かない。無く理由なんてどこにもないのだから。むしろ泣いてはいけない理由の方が多い。泣いてしまえば話すことも出来なくなるし、HAROの姿を見ていることも出来なくなる。
そこまで思って、ドライは項垂れた。
これはまるで、HAROと分かれることが前提であるような。
そんなこと認めたくないと、思わずドライは目と耳をふさいだ。すると、隙間からするりと入ってくる呆れた声。当然HAROの物。
「別れがあるのは当然だろ?」
「っ……でも!」
この別れは普通の別れではない。さようなら、また明日。なんて言い合うことが出来る別れではないのだ。今生の別れと呼ばれる物で、そして、ドライは死ぬことが出来ない。死、という概念が自分たちにはないのだから。
ぐしゃりと顔が歪んだのを感じる。
「でも…っ…HAROとまた、一緒にのんびり出来ないんだよ…?ネーナも死んじゃって、HAROもいなくなって……そんなの嫌だよ…」
「アインがいるだろ。ツヴァイ改めアルケーも」
「でも、HAROはいなくなるじゃない!」
今度は残っていた方の足が飛んだ。痛い。気を失ってしまいたいほど痛い。それでも気なんて失ってやる物か。最期まで、見てやる。
最期まで、最後まで。
それが自分に出来るただ一つのことなのだ。
それしか、自分には出来ないのだ。
分かっている。そうだと分かってはいる。分かっていて……それでも。
「……嫌だよ…」
「…お前、泣くなよ」
「泣くに決まってるじゃんか!何年一緒にいたと思ってるの!」
目からあふれる塩水は無視して、ドライは曖昧に笑っているHAROを睨め付けた。
「良い?一つ聞いて」
「何だよ。聞くだけ聞いてやる」
「私は絶対に、HAROの事忘れない」
「それは」
面白そうに、HAROは笑う。
「絶対か?ネーナのことも忘れないのか?」
「当然だよ。絶対に忘れて何てあげないから」
「……そうか」
そして。
HAROの笑みが優しいものに変わった。
「じゃあ、忘れるなよ」
瞬間、二つの存在を巻き込んで消す、爆発が起こった。
あとはアルケーがどうなるか…だなぁ。