お泊まり会だよイノベイター！⑩

そろそろ収拾をつけなければ…そんな感じですね。
とりあえず頑張れ監修役の皆さん。

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「ここで二つめの問題だ」
　ソーマは腕を組み、眉間にしわを寄せて呟いた。
「こいつらを全員一気に食堂へぶち込んでも良い物なのか？」
「というと？」
「幸いにもイノベイターを見ていないクルーもいるのだろう？なら、彼らにまで私たちの不幸を与える必要もないと思うのだが」
　聞き返してきた刹那に返し、それぞれが思い思いの事をしているイノベイターたちを眺める。リジェネはティエリアにちょっかいを出して遊んでいるし、ヒリングとブリングはまだ夢の中。リヴァイヴやデヴァイン、リボンズはアレルヤに引っ付いてて離れないし。
　ともかく平和。平和すぎるほど平和な光景である。
　……しつこいと言われようと何と言われようと、そうソーマは思った。
　絶対に、イノベイターたちは気を抜きすぎである。敵地でここまで気を抜けるのは、いっそ奇跡なのではないかと思えるほどに。少なくともソーマの常識の中では、現状は有り得ないこととしてインプットされている。
　だから、そんな輩どもに手加減や遠慮は必要ない。
　今すぐに閉じこめてしまうべきだ。…自分でも飽きるほどに同じ事を思ってる気がする。
　それもこれも、全てイノベイターたちのせいである。
「それはそうだな…持ってくるか？」
「ここに？私たちが？」
「あぁ」
　刹那はこくりと頷いた。
「こいつらを働かせないという点は気に入らないかもしれないが……やはり、邂逅の可能性を減らすにはそうするしかないだろう。四人で行けばどうにか…いや、一人は見張りが必要だな。三人で行けば二往復でどうにかならないか？」
「簡易版の朝食なら大丈夫かと思うが……イノベイターには非常食で良くないか？」
　非常食…あの細長い四角い形をした、バーのような、無味無臭の栄養だけはちゃんとある、緊急用の荷物に入っていそうなあれである。
「同感だが、そうすると煩いだろうから何とも言えないな…宥めるのが大変そうだ」
「アレルヤに任せておけばいいだろう。元はアイツが原因だ」
「いや、原因はリジェネ・レジェッタの方じゃないのか？」
「呼んだー？」
「何でもない」
　話し声が聞こえたらしく顔を向けてきたリジェネに首を振ってみせると、それだけで興味を失ったのかティエリアの方へ向き直った。「ねぇセラヴィーの乗り心地って良いの？悪いの？」「どっちだろうと構わないだろう別に…何で君はそんなに好奇心の塊なんだ」「だって気になるんだから仕方ないじゃないか。あ、そういえば格納庫のガンダムの配置状況って何か意味あるの？」……矢継ぎ早の質問…節操がないことで。
　こういうのを見ていると、やっぱり彼らを食堂へ連れて行くべきではないように思えてくる。行く途中に何人かがフラリと集団から外れていきそうな気がする。そうなったら探すのが酷く大変だ。プトレマイオスⅡはなにげに広い。
「行くのなら、私と刹那、ティエリアだ」
「妥当だな……イノベイター全員を一度に抑えることが出来るのはアレルヤしかいない」
「では。…ティエリア、少し良いか？リジェネはその辺りに括り付けてきて欲しい」
「…何だ？」
「実は…」
　不思議そうな顔をして、それでもつきまとうリジェネの後頭部を思い切り殴って気絶させて来たティエリアに、今まで刹那と話していた内容を伝える。すると、成る程と彼は頷いた。
「同感だな。これ以上、我々のような被害者を出す必要など無い」
「決まりか。…アレルヤ、少し俺たちは出てくるからイノベイターたちをブリーフィングルームの中から外へ出さないで欲しい」
「え？あ、うん」
　唐突に話を振られたからかキョトンとしながらも頭を縦に振るアレルヤ。
　だが、彼は続けてこう言った。
「でも、ヒリングとリヴァイヴがいないよ？」
「…何！？」
「ほら、ブリングとデヴァイン、リボンズもいないし」
　言われてみれば本当に、影も形もない。かろうじて部屋の中に存在しているのは、先ほど気絶させられたリジェネくらいの物である。
「いつの間に！？」
「さっき、三人が難しそうな顔で話し合ってたときかな」
「気付いていたなら止めろ！」
　怒鳴って、ソーマは刹那とティエリアの方を勢いよく振り返った。
「私はアレルヤを連れて格納庫周辺へ探しに行く」
「俺とティエリアはそうだな…食堂へ行こう。あちらに数名はいるはずだ」
「リジェネはどうする？」
「……引きずって私たちが連れて行こう」
　置いておくわけにもいかないし。
　かくして、四名によるイノベイター捜索が開始された。

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だってイノベイターだもの、自由に決まっているさ！