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今日ですよ二十三話…更新遅。
いや、前回のって何を書いたらいいかがちょっと思い至らなかったという…戦闘中の事って言う手もありますが、ちょっとそれは私の技量がついて行けないレベルかもとね…

結局出撃前になりました。



「ヴェーダの奪還作戦かぁ…」
 プトレマイオスⅡの展望室の一つで、アリオスはちょこんと体育座りをして宇宙を眺めていた。腕の中にはハロがいる。それから、隣にはハロの精神体。他の三人は多分、どこかにいるだろうきっと。こっそり出てきたから自分がここにいることは、偶然出会ってしまったハロ以外は知らないだろう。
「ねぇ、ハロは出来ると思う?」
「出来るとかじゃなくて、やる、じゃないの?こういう時って」
「…でもさ、いっぱい敵が来るんだよ?」
「それでも。ていうか、出来なかったら死ぬだけじゃないか」
「…間違ってないけど」
 それでも心配になるときは心配になるではないか。もしもの時はどうしよう、どうすればみんな死なないで、傷つかないで済むのだろうと。それは多分、自分にとっては味方だけではなく敵と呼ばれる相手のことも含まれている。一番はもちろん味方の事になるけれど、出来うる限りは他の人たちだって生きて欲しいと思う。
 甘いんだろうなぁと考えながら、ぎゅっとハロの本体を抱きしめる。分かってはいるけれど、考えずにいられないから仕方がないのだ。
 あぁ、けど、やっぱり人は死ぬんだろう。
「……たまに思うけど」
 唐突にハロの声が降ってきて、アリオスはキョトンと顔を上げた。
 すると目に映ったのは呆れ顔。
「君って、とことん戦いに向かない性格だね」
「あう…その………………ごめんなさい」
「謝らなくても良いよ。別に責めているわけでもないからね」
「…ごめん」
「だから…いや、いいや。それが君だ」
 笑みを浮かべたハロの手が、ぽんとアリオスの頭に置かれる。不思議な話だが、その手は温かく感じられた。言えばきっとハロの笑みが深くなるのだろうと予測されたけれど、何となく黙ってそのまま、もう少しだけ力を込めてハロの本体を抱きしめる。
 ハロは大人だと、一体何回思っただろうか。先に存在していた自分よりも、よっぽどお兄さんのよう。それを恥ずかしいとも思わずに、頼もしいなんて思っている自分も何とも言えないのだろうと思うけど。ただ、そんな彼の存在に助けられたことが何度もあると言うことだけ、しっかりと覚えていればいいのだ。
 などと思っている間にハロがふっと顔を上げた。
「ハロ?」
「…アリオス、僕の本体を離して、実体化解いて」
「え?あ…」
 言われて気付いた。ハロ本体に触れていると言うことはつまり、自分は実体化していたと言うことなのだ。そんな自分に触れていたのだから、当然ながらハロの方も実体化していたわけであり。
 どうりで手が温かいわけだ。
 精神体の時でも暖かさを感じるときはあるのだが、あれほどまでハッキリと感じられるのは実体化中くらいの物だろう。
 それはともかくと、アリオスはハロの言うとおりにオレンジ色の球体を手放し、何となく壁際によってから実体化を解いた。これで普通の人間には自分の姿は見えない。そして精神体の状態で人化ハロが消えるのを見た。本体の中に戻ったのだ。
 そして、その一瞬の後、ドアが開いた。
「お、こんなとこにいたのか」
「探したよ、ハロ」
 いたのは、ライルとアレルヤだった。
 二人のマイスターの直ぐ傍で、アリオスは冷や汗をダラダラとかいていた。相手にこちらが見えないのは分かっている。分かってはいるが、こうも直ぐ傍にいられるとバレるのではないかと気が気でないのだった。
 そんな自分の心情が分かったのか、少しだけこちらを一瞥して、ライルに持ち上げられたハロが耳を開閉させながら言った。
「アレルヤイッショ?アレルヤイッショ?」
 本体なので当然片言。本当はなめらかに喋れるというのに…ごめんハロ。
「ドウシテ?ドウシテ?」
「ん、あぁ、お前探しの途中で偶然合流して手伝ってくれてたんだよ。良いヤツだよなー」
「困っていたみたいだったから、ね。ハロも勝手に消えちゃダメだよ?そろそろ出撃の時間だから、ちゃんと待機していないと」
 微笑みと共に発せられた言葉に、アリオスはこっそりとごめんなさいと呟いた。ハロは自分に付き合ってくれていたのだ。
 当たり前だがマイスター二名にその声は聞こえず、二人はくるりと背を向けた。
 待機に行くのだろう。二人の背を見送りながら、アリオスは思った。次の大きな作戦のために、敵を殺すために、自分たちの求める物のために。
 ドアが閉まってもしばらく佇んでいたアリオスだったが、ついと視線を格納庫の方へと向ける。ダブルオーが呼んでいる。そろそろ戻った方が良いようだ。
 アリオスは最後にもう一度だけ展望室から外の風景を見て、その部屋から消えた。
 次の戦闘では、戦場で生まれる痛みが小さくあるようにと思いながら。






本当はアリオスに、マイスターに向けて何か言ってもらおうかと一瞬思ってた。
背中向けられたから丁度良いかなって少し。
でも、ちょっとまだ早いかもとか思って中止。
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