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洗濯日和って難しかった…だってマイスターは基本的にトレミーにいるからね、洗濯物を干すような時ってないですし。
04.洗濯日和
「地上では今日、洗濯日和だそうなの」
ピッとモニターに出ていた東京の天気予報図を消して、スメラギはブリーフィングルームに集まっていたメンバーを見渡した。
「だから……せっかくだし、トレミーの中でも洗濯物を干してみようかしらって」
「……必要性は…?」
「無いわね」
「…ですよね」
洗濯物カゴを抱え、アレルヤは苦笑を浮かべた。
突然に呼び出しをくらい、何かと思ってきてみたら渡されたこのカゴ。中には洗濯済みの衣類。一体どういうことかと思っていたら……こういうことか。
変に納得しつつ、不安になって他の三人を見る。彼らは…やる気を出すだろうか…?
特にティエリア。こんなミッションも何もないような物、参加してくれるとは考えにくい気がする。刹那は仕方なしに加わってくれそうな気もするが。あとライルは……よく分からない。参加は一応して、行動は適当かもしれなかった。
だが。
「フン……まぁ良いだろう」
あっさりとティエリアは頷き、他の二人も異論はない様子だった。
おぉ、と思いつつ、これが四年という月日の力かとしみじみ感じ、アレルヤは前方……自分たち四人とスメラギの間にある物干し竿を見た。何もブリーフィングルームに持ち込まなくても良いんでは…という疑問があるにはあったが、スメラギの楽しそうな顔を見るとツッコミもスルーしたくなる。こういう時に水を差してはいけないだろう。
「ルールは簡単よ。誰が最も綺麗に上手に洗濯物を干せるか」
「…競技なのか?」
首を傾げる刹那に、スメラギは重々しく頷いた。
「えぇ。審査員はザ・一般人!沙慈・クロスロード君よ」
「えぇと…その、お願いします…」
ペコリとお辞儀をする彼に多少の同情をしつつ、アレルヤは物干し竿へ近付く。早めに終わらせた方が良いだろう、これは。
刹那やティエリア、ライルも同様にしているのを目の端に映し、それではと干そし出そうとしたところで……スメラギが、タイマーらしい物を取りだした。
「…制限時間もあるんですか」
「五分程度ってところね。じゃ、初めて頂戴」
カチ、とボタンが押されたのを見て、アレルヤは洗濯物を手に取った。
そして悟る。五分なんて短すぎると言うことを。
全部が全部……わざわざだろうが、裏表が逆になっていた。これを戻さないと高得点は入らないらしい。し、その上……
「あの……女性の物下着が入ってるんですけれど…」
「頑張ってね」
「そんな無茶苦茶な……」
「諦めろ、アレルヤ。スメラギはあぁいう人間だ」
「ティエリア…」
元気づけられて顔を明るくしたアレルヤは、ティエリアの様子を見て驚愕した。
「えっと……ティエリア…」
「何だ?」
「皺を一つ一つ伸ばしてたら、本当に時間が無くなるよ……?」
アレルヤは話しながらも三、四着は済ませた。
が、ティエリアは丁寧にしすぎているために未だに一着目だったのだ。
「だが…やはりやるのならば徹底的に…」
「しすぎだろ…教官さん」
「そういうお前は大雑把すぎるがな」
「ははっ……確かにな」
刹那のツッコミに笑うライルは、裏表を直してさえいなかった。だからもう彼自身のノルマは達成しかけである。
残ったアレルヤと刹那の状況はと言うと、アレルヤは普通で……刹那はとても手際が良かった。彼の料理の腕も一緒に考えてみれば、恐らく今すぐにでも一人暮らしができるであろう腕前である。
凄いなぁ、と思いながら赤面しつつも何とか女性物の下着を干して、無表情で全て干すことの出来る刹那、気にしていなさそうなライル、そもそもそこまで進展していないティエリアの事を羨ましく思った。正直……この状況は荷が重いというか。
何でこういうことになっているんだろうか。
ふと考えてみれば……答えは一つだった。
スメラギの思いつき。ただ、それだけ。
二期でもスメラギさんはこういう感じであって欲しいと思うワタリでした。