「デスサイズ」
「んー? 何、ディード」
「……その名前は呼ばないでくださいと」
「分かってる分かってる。でも今はほら、二人っきりなワケだしさ」
「……まぁ、良いでしょう。今回は許します」
「どーも」
「では用件に移らせていただきますけれど……手を出してくれますか?」
「……? はい。出したぜ?」
「これを差し上げます」
「……え、何? サイコロ二つ?」
「ぽいっと投げてみてください」
「投げて良いんだ? ……ぽいっ」
「ポーン!」
「ポーン!」
「……」
「貴方一人でしたら、まだ城の中で迷子にもなってしまうでしょうし、とりあえずこの二人を付けます。分からない事があれば訊くと良いでしょう。だいたい答え……どうしました? 固まったまま動かない死神さん?」
「……いや、いやいやいやいやいや……でっちゃん、今サイコロが変身したんだけど」
「そういう魔法ですからね。サイコロに魔法をかけてポーンリーオーにしたんです。……あと、でっちゃんは止めなさい。何か嫌です」
「えー、良く無い?」
「良くありません」
「じゃあ、でっさん?」
「最早別に何かになってるでしょう、それだと。余計駄目です」
「ならさ、なんて呼べばいいんだよ」
「デスサイズ様はデスサイズ様だポーン?」
「いや、知ってるけど。でもオレもデスサイズだからさ」
「ポーン? デスサイズ様が二人なんだポーン?」
「ポーン。困ったポーン」
「本当に困ったもんだよなー……ん? 待てよ……あ、そうだ」
「……?」
「D様!」
「……はい?」
「オレ、今からお前の事D様って呼ぶな」
「……一体何がどうしてそうなったんです」
「や、フツーにデスサイズのデのDで、D様」
「ソレは分かりますけど。……デスサイズのままじゃ駄目なんですか」
「でもオレもデスサイズなわけだし、分かりにくいじゃん」
「貴方が名前変えれば良いでしょう」
「あ、そっか。その手もあるか。なら、お前が考えてくれよ」
「え? 私がですか?」
「だって言い出したのお前だし?」
「元凶は貴方なんですけど……まぁ、仕方がありません。後で少し考えてみましょう」
「ん」
「……で、話がそれましたけれど、ポーンリーオーの話です」
「あれ? まだ何かあんの?」
「注意事項を少しばかり」
「注意事項?」
「ポーンリーオーは衝撃に弱いんです。二階のベランダから突き落としたりなんてすると、サイコロに戻ってしまう可能性が高いのでご注意を」
「や、別に突き落とすとかしないだろ、普通」
「そうですか? たまに蹴り飛ばされて落ちて行くポーンリーオーを見るものですから、ついつい要らぬ口を出してしまいました」
「……誰? トールギス?」
「えぇ、まぁ、そんな所ですかね」
「後でちょっと文句言いに行くかな……」
「それもいいんじゃないですかね? あとは……特にはありませんかね。とんでもない事が起きない限り、問題は無いと思いますよ」
「とんでもない事ってどんな事だよ」
「……色々、ですかね……」
「珍しいな、ハッキリしないなんてさ」
「貴方は知らなくていいですよ。……以上です。本当にどうしようも無い時は私を呼んでください。行ける時は行きましょう」
「分かった。ありがとな」
「いえいえ、この程度、飼い主としては当然の行動ですよ」
「……あれ、オレ飼われてるんだ?」
しかし、デスサイズとデスサイズだと本当に呼び方困るよね。どっちだよ、っていう。
まぁ、一番困るのは当人たちではなく、当人たちを取り巻く他の人たちなんだけどもね