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リジェネは舌打ちをしたい気分を味わっていた。
理由は他でもなく、探し物が見つからないためである。
ずっと昨日から考えていた。どうやったら世界に勝つことが出来るだろうかと、世界が意志をおろせなくなるにはどうすれば良いだろうかと考え続けていた。
世界を完全に滅ぼすことなど、僅かながらも世界に属してしまっている自分には難しい。それに、リジェネが嫌いなのは世界そのものではなくて、世界の中に内在しいているとある『意志』なのだ、正確に言うと。
つまり、自分の最終目的はその『意志』の完全消滅。
世界を滅ぼす、なんて大それた話よりは具体性が出ている内容だ。
そのために何が出来るかと考え、考え続けた結果出た答えがとある鏡の存在だった。
ヴェーダと呼ばれる、かの鏡。
あの鏡は使用者の望む情報を全て教えるのだという。
ならば、それを使えば分かるかもしれない。
世界の壊し方が。
だからこそ、鏡がある場所を探り、この辺りにあると見当づけてきたのだが……見つからない。鏡らしい鏡なんてどこにもない。鏡として使えるのもせいぜい窓にはめられているガラスくらいものもである。
それでも、このあたりにあるのだと何となく確信があった。
そう感じられるのだから、そう考えて良いだろう。
ヴェーダというのは『鏡』なのだ。
全ての種族として存在し、全ての種族でない身としては何とも言えないのだけれど、今は月代として行動しているのだし、『鏡』と名の付く物と親しくあっても不思議ではないのである。
したがって、この感覚は信じられる。
まさか同類を間違えるわけもないだろうし。
などと思いながらふと、いつまでこの姿でいるのだろうと自分の姿を見下ろした。
先ほど下の階でちらりと見た誰かの姿である。この宿に泊まっている誰かの姿なら、どの部屋に入っても基本的には『部屋を間違えた』で済むと考えたからなのだけれど、部屋の中に誰もいないとなると、いつまでもこの格好でいることもないだろう。
何となく鏡のようになっている窓ガラスに視線をやって、いつもと違う自分の姿を目にしてから目を閉じる。
そして、再び開いたときにはいつもの自分の顔だった。
それに満足して、リジェネは勝手に傍にあったベッドの上に腰掛けた。ずっと立っているのが面倒になったのだ。
さて、これからどうしよう。まず部屋を完全に家探しするのは決定事項として、その後、鏡を見つけた後はどうするべきだろうか。真っ直ぐ帰って問題はないか、それとも真っ直ぐ帰らなければ問題はないか。
しばらく考えた後、どこか別の所に隠しておくべきだと結論づけた。あの家に置いておくのは危険だと判断したからである。
オーガンダムにも、ティエリアにも鏡を触れさせてはならないのである。
いらない苦労が多くなりそうだった。
ではどこに置くべきだろうと考えて、適切な場所がないことに気がついた。リボンズの所に置くのもちょっと問題だろうし。となると、再びどこかの家の住人を皆殺しにして自分のすみかとして用意して、そこに保管しておくべきかもしれなかった。
それが良いと思い、リジェネは何となく顔を上げ、驚いた。
目の前に、オレンジ色の髪の人形が二体、立っていたのだ。